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マイデッキ紹介【呪文探求者型イナーラ】
2019年11月1日 Magic: The Gathering コメント (2)
はじめに
本稿では,私がメインジェネラルとして使用している【儀式の大魔導師,イナーラ】について考察する.
呪文探求者型イナーラは日本の偉大なる先人によりほぼ1代で研究が進められてきたため,海外では未だ浸透しておらずtier2~tier3に分類されていることが多い.しかし,4マナ1枚コンボから勝ちにいける速攻性は他の追随を許さないものであり,知名度以上に強力なジェネラルであると言える.最近では,「4マナ1枚コンボ」という謳い文句だけが認識され狙われることもあるが,無闇にカウンターを撃っていると追いつかなくなる程の復帰力を持っているのもこのジェネラルの特徴である.相手がイナーラのことを知らなければ瞬殺してしまうこともしばしばあるが,デッキを握る側と対峙する側両方が通すべき/止めるべきポイントを把握し,また復帰点を想定することで次の一手を効果的に通す/止める方法を考えることができれば,常に卓の緊張感を保ち続けられるジェネラルになるだろう.
ジェネラル紹介
儀式の大魔導師,イナーラ
(2)(青)(黒)(赤)
伝説のクリーチャー — 人間(Human) ウィザード(Wizard)
威光 ― 他のトークンでないウィザード(Wizard)が1体あなたのコントロール下で戦場に出るたび、儀式の大魔導師、イナーラが統率領域か戦場にある場合、あなたは(1)を支払ってもよい。そうしたなら、そのウィザードのコピーであるトークンを1体生成する。そのトークンは速攻を得る。次の終了ステップの開始時に、それを追放する。
あなたがコントロールするアンタップ状態のウィザード5体をタップする:プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーは7点のライフを失う。
4/5
統率者2017で登場した,グリクシスカラーの統率者.
統率者領域からでも効果を発揮できる「威光」能力が特徴.統率者領域に干渉する方法は現状では存在しないため(起動効果に干渉する方法はある.真髄の針など),効果を打ち消すことはできてもイナーラ自体を処理することができず,統率者税を気にする必要もない.
イナーラの威光効果は,ウィザードが戦場に出るたびにスタックに乗り,解決時に1マナ払えば速攻を持ったコピーを場に出すことができるというもの.トークンはそのターン限りで消滅してしまうため,速攻を活かして攻撃するか,cip能力を2回発動させるような使い方が期待できる.
効果の特性から,ウィザードを場に出す回数を増やすことが重要であり,リアニメイトを絡めてデッキを回すことが多いことから黒寄りの動きをすることが多い.コンボデッキの宿命として,妨害を受ける,勝利に繋がるコンボを見せると警戒されて2発目も通らない…ということがあるが,イナーラ自身が青を含むことから妨害の妨害を構えることもでき,対応力の高い構成となっている.
一方で,色特性から恒常的なマナ加速が行えないことや,盤面の有利を取りづらく,置物による妨害を受けやすいことが弱点として挙げられる.また,生物が並びにくいので,殴りジェネラルに囲まれて袋叩きを受けるような状況も苦手.このような相手には,数少ないAoEを引き込むか,やられるより先にコンボを決めることが要求される.
型の検討
・ワンダーワインの預言者型
ワンダーワインの預言者
(4)(青)(青)
クリーチャー — マーフォーク(Merfolk) ウィザード(Wizard)
覇権(マーフォーク(Merfolk))(これが戦場に出たとき、あなたがコントロールする他のマーフォーク1つを追放しないかぎり、これを生け贄に捧げる。これが戦場を離れたとき、そのカードは戦場に戻る。)
ワンダーワインの預言者がプレイヤー1人に戦闘ダメージを与えるたび、あなたはマーフォークを1つ生け贄に捧げてもよい。そうした場合、このターンの後に追加のターンを行う。
4/4
ワンダーワインの預言者1枚から無限ターンに入るコンボを中心とした型.呪文探求者型が流行するまでは主流であった.コンボの概要は以下の通り.
①ワンダーワインの預言者の覇権にオンスタックでイナーラの威光を起動,コピーの覇権効果で本体を追放する.
②威光で生成されたコピーは速攻を持つため,戦闘を行い,追加ターンを得る.
③ターン終了時にコピーは追放,覇権で追放された本体が戻ってくる.
④ ①と同様の手順で威光と覇権を解決.コピーの追放タイミングは「終了ステップの開始時」のため,このターンの終わりには消滅しない.
以下,攻撃が通らなくなるまで追加ターン.
通れば,1枚始動で無限ターンに入れるのが魅力.
ただし,コンボ始動に8マナ必要.かつ,攻撃が通ることが前提となる.その頃には他のプレイヤーの盤面も整い,妨害も構えていることが想定されるが,盤面処理や打ち消しまで構えるにはさらにマナが要求されるため,通すためには相応の準備が必要になる.
・呪文探求者型
呪文探求者
(2)(青)
クリーチャー — 人間(Human) ウィザード(Wizard)
呪文探求者が戦場に出たとき、あなたは「あなたのライブラリーから点数で見たマナ・コストが2以下でインスタントかソーサリーであるカード1枚を探し、それを公開してあなたの手札に加え、その後あなたのライブラリーを切り直す。」を選んでもよい。
1/1
呪文探求者の能力を威光により複数回発動させ,複数の呪文をサーチすることによってコンボを成立させることを目的とする.加えて,弱者選別やSacrificeなどを組み込んで呪文探求者を退場させ,リアニメイト系で釣り上げることでマナを確保しつつさらにサーチを繰り返すことも可能.
呪文探求者はあくまでもコンボパーツを探す手段なので,一般的な型では「古術師ループ」と呼ばれる無限コンボをメインプランとして搭載している.呪文探求者の効果でリアニメイト呪文とSacrificeなどの生贄によりマナを生む呪文,納墓の計3枚を揃えることでループに入り,最終的には速攻を持ったトークンが無限に並ぶ(詳細は下記).また,星霜の学者と納墓を使えば,デッキから任意のカードを墓地に落としながらインスタント・ソーサリーを回収し続けられるため,コラガンの命令などの本体にダメージを飛ばせる呪文を使い回すことによってコンバットを介さずに勝利することも可能.通常であれば3枚と5マナの準備が必要だが,呪文探求者から始動することで1枚4マナまで圧縮される.
4マナから呪文探求者1枚でコンボが始動するため,キルターンが非常に短く安定性が高い.たとえ一度ストップしたとしても,呪文探求者のリアニやブリンクによって再始動でき,復帰力も高い.イナーラに対して打ち消しで対応するには見るべき札が多く,またイナーラ自身も打ち消しを構えられるため止めることが難しい.
一方で,キャスト,サーチ,リアニ,墓地回収等,ありとあらゆるリソースを使うので,各種置物系の妨害はよく刺さる.特に色特性上エンチャントには触れにくく,R.I.Pや黒力線,血染めの月などを早いターンで設置されると苦戦を強いられる.墓地対策は多くのデッキに搭載されているため,サイドプランとして研究室の偏執狂+Demonic consultationなどの墓地を経由しない勝ち筋を用意することも検討される.
本稿では,呪文探求者型を採用した.ワンダーワイン型と比較すると,同じ1枚始動のコンボにしても,大幅に少ないマナで起動でき,攻撃を通す必要もないため確実性も高い.また,インスタントウィンも狙えて,呪文探求者を処理された場合でも直観1枚から古術師ループに入れるために勝ち筋も太く,多くの面で秀でていると考えられるためである.
主な勝ち筋
・呪文探求者1枚コンボ
UB2,手札に呪文探求者からスタート.途中7点ダメージあり.
①呪文探求者キャストして着地,イナーラの威光にスタックしcip効果誘発.(B)
②cip解決で弱者選別をサーチ,威光にスタックしてキャスト.コストとして本体生贄にして黒4マナ生み.(BBBB)
③1マナ払い威光解決,cip効果で発掘をサーチ.(BBB)
④発掘キャスト,呪文探求者着地で①と同様に処理.解決し,Burnt offeringと約束の終焉をサーチ.(B)
⑤Burnt offeringキャスト,本体をコストに赤赤黒でマナを生む.(RRB)
⑥約束の終焉X=1でキャスト.対象は発掘,弱者選別.弱者選別のコストでコピー1体を生贄にし,発掘で呪文探求者を釣り上げる.(BBBB)
⑦①と同様に処理,納墓と再活性を手札に加える.(BBB)
⑧納墓キャスト,星霜の学者を墓地へ.再活性をキャストして星霜の学者釣り上げ(7点ダメージ).(B)
⑨星霜の学者着地,威光にスタックしてcip効果誘発.Burnt offeringと納墓を回収.(B)
⑩威光にスタックしてBurnt offeringキャスト.解決後,納墓をキャストして浅すぎる墓穴を墓地へ.(B×6)
⑪威光解決,Burnt offeringと浅すぎる墓穴を回収.(B×5)
以後,古術師ループ(後述)に入る.
ほとんどのパーツは浮きマナが必要になるものの代替が利くが,納墓が墓地にあって古術師系が落とせていない場合だけは下記のループに入れなくなるため注意が必要.
よくある失敗例として,初期手札に納墓とリアニ系呪文が存在し,納墓で呪文探求者を埋めてリアニするところから始動しようとすることがある.この場合は重い古術師系を手札から唱えなければいけないので,要求値が途端に大きくなる.ルート内の約束の終焉で納墓を切ることで5マナスタート可能。
対峙する側としては,2~3ターン目に高確率で来る呪文探求者を止められるかどうかが第一関門となる.止めるポイントは2つ.
1つ目は,④の発掘キャスト.呪文探求者は釣り竿があれば始動するため,発掘を1枚消費させた形でストップすると使用可能な釣り竿が1枚減少した状態になるので,その後も含めて再起動される確率を抑えることができる.
2つ目は,③の弱者選別キャスト.こちらを止めると浮きマナ0の状態でストップさせることができる.2枚目の釣り竿が手札にあることがわかっている場合,または手札枚数からその確率が高いと判断するならこちらを止めれば良い.ただし,次のターンほぼ確実に再起動するので,それまでに対抗策の用意が必要になる.
・古術師ループ
墓地か手札に古術師系(以下,古術師),Sacrifice系(以下,Sacrifice),リアニメイト系(再活性・発掘以外.以下,リアニ)の3枚が揃ったら始動.古術師かリアニのどちらか1枚は手札に必要.
①古術師をキャスト,またはリアニをキャストして古術師を釣り上げる.
②威光と合わせてcip効果が2回発動し,Sacrificeとリアニを回収する.
③本体を対象にSacrifice→リアニを唱えることでループし,1ループごとに速攻を持ったトークンが1体ずつ増えていく.
④無限アタック.
古術師系が星霜の学者であれば,威光と合わせて回収枚数が4枚になる.そのため,納墓が墓地にあればループ中にデッキから任意のインスタント・ソーサリーを落とし,回収することが可能.また,Sacrifice系の呪文としてBurnt offeringを使えば,赤マナも生めるためコラガンの命令などを無限キャストしてコンバットを介さずに勝利することもできる.
・インスタントウィン
古術師ループの派生.手札に納墓または墓地の一番上に星霜の学者,墓地か手札に納墓またはBurnt offeringが存在し,手札に浅すぎる墓穴などのインスタントの釣り竿があれば可能.
①浅すぎる墓穴キャスト,星霜の学者着地.威光にスタックして本体cip効果誘発.浅すぎた墓穴とBurnt offeringを回収.
②威光にオンスタックでBurnt offeringキャスト,星霜の学者を生贄に黒4赤3マナ生む.
③さらに威光の上に浅すぎた墓穴をキャスト,星霜の学者着地.
④以下,①に戻り一周するごとに威光スタックが1つ積まれていき,無限赤黒マナの状態で無限に威光スタックが積まれた状態になる.
⑤威光を解決,納墓となにかを回収し,納墓キャスト,コラガンの命令を墓地に落とす.
⑥威光を解決,納墓とコラガンの命令を回収.コラガンの命令をキャスト.
⑦以下,威光解決1回ごとにコラガンの命令を回収,キャストして無限ダメージ
インスタントの釣り竿と納墓で始動できる.前もって納墓で星霜の学者を沈めておけば,釣り竿1枚と黒×4で始動可能.誰かの勝ちが見えた後,悠々と上から勝利を攫っていこう.
採用基準
・呪文探求者
このデッキのメインエンジン.コンボに必要なパーツを全て1人で持ってきてくれる.
・星霜の学者,古術師,魔除け探しの吸血鬼
tip効果で墓地のインスタント・ソーサリーを回収することのできるカードたち.このうち,星霜の学者は唯一1回で2枚を回収できるため確定枠.古術師はこの系統の効果を持つ中で最も軽いため採用.手札から唱えることがあるのはこいつくらい.魔除け探しの吸血鬼は非常に重いが,それ故にSacrificeで生めるマナも多く,三なる方球を設置されていても古術師ループに入れる利点がある.
この系統のカードは手札に来ると非常に困るため,できるだけ少ない枚数で抑えたいが,1枚や2枚では素引きしてしまったり除外されたりした時に勝ち筋が消えてしまう.そのため,3枚の採用となった.
・Burnt offering,Sacrifice,弱者選別
生贄によりマナを生み出すタイプのカード.Burnt offeringはこの中で唯一赤マナを出すことができるため,約束の終焉の起動やコラガンループに入る際に必須になる.弱者選別は生贄のコストに関わらず4マナを生めるのでこちらもコンボパーツとして必須.Sacrificeはこの2つのような唯一性はないが,呪文探求者に頼らずに古術師ループに入る際に1つでも起動キーが多いほうが良いので採用.
・納墓
そのまま唱えるには重すぎる星霜の学者を墓地に埋める動きは勿論,古術師で回収できる呪文を一旦墓地に落とすこともでき,替えの利かない1枚.しかも,インスタント1マナでこの動きが代用できる呪文は存在しない.地味に見えるがこのデッキの(というか墓地利用の絡むデッキ全般にとって)最も重要なパーツであると言っても過言ではない.絶対に雑に使ってはいけない.
・発掘,再活性
1マナで墓地のクリーチャーを場に出せる釣り竿.呪文探求者1枚コンボのキーパーツであり,軽く使いやすい呪文ではあるが,これを使って古術師ループには入れないことには注意が必要.
・浅すぎる墓穴,縫合,死体のダンス
2マナ以上の釣り竿.こちらは古術師ループに入ることができる.この他にエンチャントの釣り竿も存在するが,コンボパーツとして利用できないので不採用とした.
・コラガンの命令
ファクト破壊,手札破壊,ダメージと3つのモードから2つを使い分けられる呪文.最も多く使う場面は無限キャストによる勝利だが,その他にもファクトとクリーチャーを同時に対処できるなど,優秀な除去として機能する.
・暗黒の儀式
一時的なマナ加速として,1枚で2マナ以上水増しできるカードは多くない.その中でも1マナから増やすことができるこのカードは破格の性能.2ターンキルのお供その1.
・波止場の簒奪者
カードゲームにおいて相手依存の能力は弱いと言われるが,こと統率者戦においては相手が3人いて誰もマナファクトを置かないということ自体が稀であるためほぼ確実にマナ加速が可能.2マナで唱えて宝物が3~4個,場合によっては6,7個出ることも珍しくない.2ターンキルのお供その2.
・猿人の指導霊
マナ加速としてのウェイトはそこまで大きいわけではないが,無から有が作り出せるのが偉い.フルタップの状態から赤霊破紅蓮破を飛ばす目的で切ることが多い.
・陰謀団の儀式,炎の儀式
主な役割は3マナを4マナに変換して3ターン目の呪文探求者をさせること.炎の儀式については,赤マナを必要とする場面が少ないことから実質無色2マナを生むような扱いになるため,少しバリューは落ちる.が,ないと困ることには変わりない.
・ヴリンの神童、ジェイス,闇の腹心
存在するだけでアドバンテージを取っていく生物.他にも継続的なアドバンテージ源として候補となる生物はいるが,いずれも戦闘などもう1工程を必要とするため優先度が下がる.相手からすれば,これにわざわざ対処するのはもったいないが,かといって放置するわけにもいかない面倒な置物として扱われる.また,変身できる機会は多くはないものの,ジェイスの裏面-3能力も強力.
・明日の見張り
上の2枚もそうだが,筆者の好みとして不要な戦闘は避ける傾向がある.単純に相手の見極めが下手なことも理由ではあるが.秘匿したカードを回収されることを恐れて戦闘の対象に選ばれづらくなることもあり,個人的に気に入っている1枚.さらに攻撃的に仕掛けながらアドバンテージを得たいなら,アズラの賭け屋や正気泥棒など,戦闘を介して効果を発動する生物を選択することも考えられる.ここは入れ替えの機会の比較的多い枠.
・ギタクシア派の調査
マナコスト0で1ドロー.実質デッキを99枚で組めるようなもの.ついでに青絡みの相手の手札を覗いておけば,安心してコンボに入ることができる.
・渦まく知識
最初は色々入れていた1マナ1ドローの最後の生き残り.引きたくなかったものを返せるのは他の1マナ1ドローにはない利点.
・本質の変転
1マナでブリンク.マナが余っていれば,呪文探求者で持ってくる札を増やすことができる.主に蒸気の連鎖をサーチして邪魔な置物をどかすために使う.単体で機能しないので何度か抜けたものの,これがないと突破できない場面も多いため結局帰ってきた.
・直観
古術師ループに関わる札が最低1枚以上手札か墓地にあれば、残りのパーツを揃えることができる.基本的に,このデッキのサーチカードは呪文探求者を探すための物が多いが,直観で釣り竿2枚を犠牲に呪文探求者を持ってくる動きは得策ではない.これをするとカウンターされた時の復帰の目をなくしてしまう上に,コンボ途中の釣り竿を先に消費してしまうと要求マナが上がってしまうことも考えられる.あくまでも決定打は古術師ループなので,直観を使うなら呪文探求者に拘らず直接そちらを狙えば良い.
・湖での水難
エルドレインの王権から入ったカウンター兼除去.このデッキにおけるカウンターは,他人の動きを妨害するためではなく自分の動きを通すための役割が大きいので,軽いカウンターを打ち消せればいいと考えれば参照する墓地の枚数はそこまで問題にはならない.また,後半になれば統率者や大型の生物を除去するためにも使うことができる.
・その他カウンター呪文(12枚)
基本的には軽いものを優先的に採用している.少々多いように感じられるが,これくらいないと自分のしたい動きを通すことができない.
この中で,常に採用の可否を考えているのが否定の力.否定の力はピッチで撃てるのが相手ターンに限られる.3人を相手にする統率者戦において,相手の動きを妨害するためだけの札は弱いという考えから何度も抜くことを考えたが,適切な代わりが見当たらないため現在まで使い続けている.実際にこれで助かる場面も多いのが悩ましいところ.
・蒸気の連鎖,サイクロンの裂け目
バウンス.除去と比べると一次避難にしかならないが,1回コンボが通れば勝てるこのデッキでは有効にはたらく.詳細は下記.
・仕組まれた爆薬,溶融,ラクドスの魔除け,毒の濁流,爆積み
設置されてしまった置物の除去.詳細は下記.
デッキの弱点
・墓地対策
墓掘りの檻,トーモッドの墓所,Rest in Peace,各種アショク,フェアリーの忌み者など.
主要コンボが全て墓地を経由するため,非常によく刺さる.
置物系を設置されることによってコンボに入れないことも困るが,一度止められた後墓地リソースを追放されると目も当てられない.ただし,古術師ループの各パーツは複数枚搭載しているので,完全に機能停止することは稀.
フェアリーの忌み者などの特定の数枚を除外するカードを打たれる場合,呪文探求者が狙われやすいが,実はそれよりも納墓や星霜の学者を除外される方が困る.呪文探求者はあくまでもコンボパーツを揃えるための手段なので,墓地にある時点で仕事を終えている場合が多いからである.
・サーチ対策
エイヴンの思考検閲者,締め付け,灯争対戦アショクなど.
墓地対策より困るのがサーチの制限をかけられること.後述の置物に対する対抗手段もデッキからサーチしてくることになるので,完全に素引き待ちの状態になる.ただ,既に古術師ループのパーツが手札・墓地に揃っているなら影響は薄い.
・土地干渉系
血染めの月,基本に帰れなど.
青黒タッチ赤の3色デッキなので,色事故を防ぐためどうしても特殊土地が中心となってしまう.これらの置物を設置する相手の場合,色に余裕があればフェッチランドなども活用して,序盤から積極的に基本土地を置いていくことが重要になる.置かれるまでの対応を誤らなければ脅威は薄いが,設置されるタイミングによっては最も対処に困る.
・虚空の盃,三なる宝球
やめてしんじゃう. とてもつらい.
コンボパーツの多くは1マナ.打ち消しも1マナのものを中心に採用している.サーチも1マナが多い.つまりとてもよく刺さる.これを置いたあとのイナーラは死に体として扱われる傾向があるので,その間に準備を整えてチャンスを伺うことになる.一応,7マナ以上の古術師系を使えば三球の上からコンボに入ることも可能.
置物妨害に対する対抗手段
前述の通り,ほぼありとあらゆる妨害置物が刺さるので,それに対する対抗手段を用意しておく必要がある.カウンターにより打ち消す余裕があるならそれに越したことはないが,ここでは既に設置されてしまったものに対する対抗手段と採用理由を論じる.
・クリーチャー除去
このデッキで設置されると困るクリーチャーとしては,月の大魔導師,エイヴンの思考検閲者,自由なる者ルーリク=サーなど.ついでにマナクリーチャーや誰かのジェネラルも巻き添えにできることを期待して,単体除去ではなくAoE呪文を中心に検討し,毒の濁流,滅び,Fire covenantの3候補まで絞ることができた.
この中で,Fire covernantは唯一自分のクリーチャーを巻き込まずに起動できるが,その分ライフ消費が激しくなりがち.「なんだかわからないけどイナーラは悪い」の認識からか,とりあえずアタックを仕掛けられることもしばしばあるので,ライフ消費は極力避けたいため選択肢から除外した.また,この構築ではそもそも巻き込まれて困るクリーチャーがほとんどいないので,採用の理由が薄い.
となると毒の濁流か滅びの2択だが,毒の濁流の数点ルーズより滅びの1マナ増を重く見たため毒の濁流を採択している.当然,クリーチャー中心の環境であれば複数枚採用も十分検討される.
・アーティファクト除去
アーティファクト除去としては最初に溶融を選択した.汚損破も候補に上がるが,あちらは超過コストで撃つには5マナ必要になる.溶融であれば,X=2~3で大抵のファクトは破壊できるため,こちらの方がコストパフォーマンスに優れる.
コラガンの命令とラクドスの魔除けもアーティファクト除去として機能する.コラガンの命令なら古術師ループのダメージ源として,ラクドスの魔除けは横に並ぶデッキや無限トークンを並べる相手へのカウンター,墓地対策としての役割も持つので,ピンポイントながらも複数の役割を持つこれらは腐りにくく,使い勝手が良い.
ファクト除去に関しては,たとえ妨害ファクトを設置する相手がいなかったとしても,マナファクトを使う相手がいないということは考えにくいため腐ることがほぼない.そのため,悩んだ末に3枚体制とした.
・エンチャント除去
色特性上,エンチャントだけに触る手段はほとんどない.そのため,パーマネント無差別破壊に頼ることになる.また,赤には高マナ域にリセットボタンが数多く存在するが,どれもマナ要求や色拘束が激しく,赤はタッチでしかないイナーラには使いづらい.
そこでまず候補に挙がるのは,爆発域と仕組まれた爆薬の2枚.これらは見ることのできる範囲が広く,特に爆発域は対処されにくい優秀な除去なのでノータイムで採用する.
次に考えられるのが,ネビニラルの円盤,爆積みなどの無色のリセットボタン.選択の基準として,次のターンには確実にリセットできるネビニラルか,運が絡む爆積みかの好みの問題という見方もできるが,それよりも,こんな見えている危険物が一周無事に帰ってくるのかの方が問題である.他のジェネラルであれば卓の平和のために協力してネビニラルを守ることも考えられるが,イナーラに関しては枷が外れれば走り出すのが誰の目にも明らかである.そのため,1対3の構図で守り抜かなければならないことを考えると,たとえ1/2でも任意のタイミングで起動できる爆積みに軍配が上がる.ただし,4マナ不確定除去は重いことには変わりないため,余程の置物環境になるまではここまでする必要はない.
・バウンス
上記の除去手段は全体にかかる分どうしても要求マナが高めなため,1手2手遅れてしまう.本来であれば,これらの置物を設置される前に対処するか,1枚程度であれば軽いマナコストの呪文で一旦バウンスするだけでもコンボを通すことができる.このために採用しているのが,呪文探求者でもサーチ可能で,土地以外のあらゆるパーマネントに触ることのできる蒸気の連鎖とサイクロンの裂け目である.
たとえ墓掘りの檻やR.I.P.が設置されている状況でも,追加で青×2マナあれば,呪文探求者着地時に本質の変転を唱えてブリンク,再度誘発した呪文探求者で蒸気の連鎖を持ってくることで無理やりコンボを通すこともできる.サイクロンの裂け目には困った時の超過という手もある.本来ならその場しのぎにしかならないことの多いバウンスも,常に「通れば勝ち」を押し付けられるイナーラにとっては優秀な除去手段として機能する.
本構築の課題
本稿のイナーラはかなり前のめりな構成になっており,3ターン目までの動きは安定するものの,1度2度止められた後に失ったアドバンテージを取り返す力はさほど高くない.そのため,4ターン目以降の動きには課題があると自分自身感じている.構築段階で継続してアドバンテージを取れる手段を増やすことも検討すべきだが,そのために本筋の動きを鈍らせることはできないので枠を割けずにいるのが現状である.
おわりに
今回,自分の思考整理と共に,周囲の方から「イナーラが強いのはわかったけど何が起こっているのかわからない」「どこを止めたら良いのかがわからない」という声が多く聞かれたことからこのような記事を書くに至りました.結果的に人に読ませる気があるのかわからないような長文記事になってしまいましたが,これでもまだ不十分だと感じているので少しずつ加筆修正していく予定です.特に,マリガン基準については非常にシビアで,初動に全てをかけるイナーラとしては絶対に甘えたキープが許されないものなので是非とも考察したいと考えています.握る方も握られる方もデッキについての知識を持っていればお互いそれだけ楽しめるので,より多くの人にイナーラを知ってもらえれば幸いです.ご意見ご感想もお待ちしています.
本稿では,私がメインジェネラルとして使用している【儀式の大魔導師,イナーラ】について考察する.
呪文探求者型イナーラは日本の偉大なる先人によりほぼ1代で研究が進められてきたため,海外では未だ浸透しておらずtier2~tier3に分類されていることが多い.しかし,4マナ1枚コンボから勝ちにいける速攻性は他の追随を許さないものであり,知名度以上に強力なジェネラルであると言える.最近では,「4マナ1枚コンボ」という謳い文句だけが認識され狙われることもあるが,無闇にカウンターを撃っていると追いつかなくなる程の復帰力を持っているのもこのジェネラルの特徴である.相手がイナーラのことを知らなければ瞬殺してしまうこともしばしばあるが,デッキを握る側と対峙する側両方が通すべき/止めるべきポイントを把握し,また復帰点を想定することで次の一手を効果的に通す/止める方法を考えることができれば,常に卓の緊張感を保ち続けられるジェネラルになるだろう.
ジェネラル紹介
儀式の大魔導師,イナーラ
(2)(青)(黒)(赤)
伝説のクリーチャー — 人間(Human) ウィザード(Wizard)
威光 ― 他のトークンでないウィザード(Wizard)が1体あなたのコントロール下で戦場に出るたび、儀式の大魔導師、イナーラが統率領域か戦場にある場合、あなたは(1)を支払ってもよい。そうしたなら、そのウィザードのコピーであるトークンを1体生成する。そのトークンは速攻を得る。次の終了ステップの開始時に、それを追放する。
あなたがコントロールするアンタップ状態のウィザード5体をタップする:プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーは7点のライフを失う。
4/5
統率者2017で登場した,グリクシスカラーの統率者.
統率者領域からでも効果を発揮できる「威光」能力が特徴.統率者領域に干渉する方法は現状では存在しないため(起動効果に干渉する方法はある.真髄の針など),効果を打ち消すことはできてもイナーラ自体を処理することができず,統率者税を気にする必要もない.
イナーラの威光効果は,ウィザードが戦場に出るたびにスタックに乗り,解決時に1マナ払えば速攻を持ったコピーを場に出すことができるというもの.トークンはそのターン限りで消滅してしまうため,速攻を活かして攻撃するか,cip能力を2回発動させるような使い方が期待できる.
効果の特性から,ウィザードを場に出す回数を増やすことが重要であり,リアニメイトを絡めてデッキを回すことが多いことから黒寄りの動きをすることが多い.コンボデッキの宿命として,妨害を受ける,勝利に繋がるコンボを見せると警戒されて2発目も通らない…ということがあるが,イナーラ自身が青を含むことから妨害の妨害を構えることもでき,対応力の高い構成となっている.
一方で,色特性から恒常的なマナ加速が行えないことや,盤面の有利を取りづらく,置物による妨害を受けやすいことが弱点として挙げられる.また,生物が並びにくいので,殴りジェネラルに囲まれて袋叩きを受けるような状況も苦手.このような相手には,数少ないAoEを引き込むか,やられるより先にコンボを決めることが要求される.
型の検討
・ワンダーワインの預言者型
ワンダーワインの預言者
(4)(青)(青)
クリーチャー — マーフォーク(Merfolk) ウィザード(Wizard)
覇権(マーフォーク(Merfolk))(これが戦場に出たとき、あなたがコントロールする他のマーフォーク1つを追放しないかぎり、これを生け贄に捧げる。これが戦場を離れたとき、そのカードは戦場に戻る。)
ワンダーワインの預言者がプレイヤー1人に戦闘ダメージを与えるたび、あなたはマーフォークを1つ生け贄に捧げてもよい。そうした場合、このターンの後に追加のターンを行う。
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ワンダーワインの預言者1枚から無限ターンに入るコンボを中心とした型.呪文探求者型が流行するまでは主流であった.コンボの概要は以下の通り.
①ワンダーワインの預言者の覇権にオンスタックでイナーラの威光を起動,コピーの覇権効果で本体を追放する.
②威光で生成されたコピーは速攻を持つため,戦闘を行い,追加ターンを得る.
③ターン終了時にコピーは追放,覇権で追放された本体が戻ってくる.
④ ①と同様の手順で威光と覇権を解決.コピーの追放タイミングは「終了ステップの開始時」のため,このターンの終わりには消滅しない.
以下,攻撃が通らなくなるまで追加ターン.
通れば,1枚始動で無限ターンに入れるのが魅力.
ただし,コンボ始動に8マナ必要.かつ,攻撃が通ることが前提となる.その頃には他のプレイヤーの盤面も整い,妨害も構えていることが想定されるが,盤面処理や打ち消しまで構えるにはさらにマナが要求されるため,通すためには相応の準備が必要になる.
・呪文探求者型
呪文探求者
(2)(青)
クリーチャー — 人間(Human) ウィザード(Wizard)
呪文探求者が戦場に出たとき、あなたは「あなたのライブラリーから点数で見たマナ・コストが2以下でインスタントかソーサリーであるカード1枚を探し、それを公開してあなたの手札に加え、その後あなたのライブラリーを切り直す。」を選んでもよい。
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呪文探求者の能力を威光により複数回発動させ,複数の呪文をサーチすることによってコンボを成立させることを目的とする.加えて,弱者選別やSacrificeなどを組み込んで呪文探求者を退場させ,リアニメイト系で釣り上げることでマナを確保しつつさらにサーチを繰り返すことも可能.
呪文探求者はあくまでもコンボパーツを探す手段なので,一般的な型では「古術師ループ」と呼ばれる無限コンボをメインプランとして搭載している.呪文探求者の効果でリアニメイト呪文とSacrificeなどの生贄によりマナを生む呪文,納墓の計3枚を揃えることでループに入り,最終的には速攻を持ったトークンが無限に並ぶ(詳細は下記).また,星霜の学者と納墓を使えば,デッキから任意のカードを墓地に落としながらインスタント・ソーサリーを回収し続けられるため,コラガンの命令などの本体にダメージを飛ばせる呪文を使い回すことによってコンバットを介さずに勝利することも可能.通常であれば3枚と5マナの準備が必要だが,呪文探求者から始動することで1枚4マナまで圧縮される.
4マナから呪文探求者1枚でコンボが始動するため,キルターンが非常に短く安定性が高い.たとえ一度ストップしたとしても,呪文探求者のリアニやブリンクによって再始動でき,復帰力も高い.イナーラに対して打ち消しで対応するには見るべき札が多く,またイナーラ自身も打ち消しを構えられるため止めることが難しい.
一方で,キャスト,サーチ,リアニ,墓地回収等,ありとあらゆるリソースを使うので,各種置物系の妨害はよく刺さる.特に色特性上エンチャントには触れにくく,R.I.Pや黒力線,血染めの月などを早いターンで設置されると苦戦を強いられる.墓地対策は多くのデッキに搭載されているため,サイドプランとして研究室の偏執狂+Demonic consultationなどの墓地を経由しない勝ち筋を用意することも検討される.
本稿では,呪文探求者型を採用した.ワンダーワイン型と比較すると,同じ1枚始動のコンボにしても,大幅に少ないマナで起動でき,攻撃を通す必要もないため確実性も高い.また,インスタントウィンも狙えて,呪文探求者を処理された場合でも直観1枚から古術師ループに入れるために勝ち筋も太く,多くの面で秀でていると考えられるためである.
主な勝ち筋
・呪文探求者1枚コンボ
UB2,手札に呪文探求者からスタート.途中7点ダメージあり.
①呪文探求者キャストして着地,イナーラの威光にスタックしcip効果誘発.(B)
②cip解決で弱者選別をサーチ,威光にスタックしてキャスト.コストとして本体生贄にして黒4マナ生み.(BBBB)
③1マナ払い威光解決,cip効果で発掘をサーチ.(BBB)
④発掘キャスト,呪文探求者着地で①と同様に処理.解決し,Burnt offeringと約束の終焉をサーチ.(B)
⑤Burnt offeringキャスト,本体をコストに赤赤黒でマナを生む.(RRB)
⑥約束の終焉X=1でキャスト.対象は発掘,弱者選別.弱者選別のコストでコピー1体を生贄にし,発掘で呪文探求者を釣り上げる.(BBBB)
⑦①と同様に処理,納墓と再活性を手札に加える.(BBB)
⑧納墓キャスト,星霜の学者を墓地へ.再活性をキャストして星霜の学者釣り上げ(7点ダメージ).(B)
⑨星霜の学者着地,威光にスタックしてcip効果誘発.Burnt offeringと納墓を回収.(B)
⑩威光にスタックしてBurnt offeringキャスト.解決後,納墓をキャストして浅すぎる墓穴を墓地へ.(B×6)
⑪威光解決,Burnt offeringと浅すぎる墓穴を回収.(B×5)
以後,古術師ループ(後述)に入る.
ほとんどのパーツは浮きマナが必要になるものの代替が利くが,納墓が墓地にあって古術師系が落とせていない場合だけは下記のループに入れなくなるため注意が必要.
対峙する側としては,2~3ターン目に高確率で来る呪文探求者を止められるかどうかが第一関門となる.止めるポイントは2つ.
1つ目は,④の発掘キャスト.呪文探求者は釣り竿があれば始動するため,発掘を1枚消費させた形でストップすると使用可能な釣り竿が1枚減少した状態になるので,その後も含めて再起動される確率を抑えることができる.
2つ目は,③の弱者選別キャスト.こちらを止めると浮きマナ0の状態でストップさせることができる.2枚目の釣り竿が手札にあることがわかっている場合,または手札枚数からその確率が高いと判断するならこちらを止めれば良い.ただし,次のターンほぼ確実に再起動するので,それまでに対抗策の用意が必要になる.
・古術師ループ
墓地か手札に古術師系(以下,古術師),Sacrifice系(以下,Sacrifice),リアニメイト系(再活性・発掘以外.以下,リアニ)の3枚が揃ったら始動.古術師かリアニのどちらか1枚は手札に必要.
①古術師をキャスト,またはリアニをキャストして古術師を釣り上げる.
②威光と合わせてcip効果が2回発動し,Sacrificeとリアニを回収する.
③本体を対象にSacrifice→リアニを唱えることでループし,1ループごとに速攻を持ったトークンが1体ずつ増えていく.
④無限アタック.
古術師系が星霜の学者であれば,威光と合わせて回収枚数が4枚になる.そのため,納墓が墓地にあればループ中にデッキから任意のインスタント・ソーサリーを落とし,回収することが可能.また,Sacrifice系の呪文としてBurnt offeringを使えば,赤マナも生めるためコラガンの命令などを無限キャストしてコンバットを介さずに勝利することもできる.
・インスタントウィン
古術師ループの派生.手札に納墓または墓地の一番上に星霜の学者,墓地か手札に納墓またはBurnt offeringが存在し,手札に浅すぎる墓穴などのインスタントの釣り竿があれば可能.
①浅すぎる墓穴キャスト,星霜の学者着地.威光にスタックして本体cip効果誘発.浅すぎた墓穴とBurnt offeringを回収.
②威光にオンスタックでBurnt offeringキャスト,星霜の学者を生贄に黒4赤3マナ生む.
③さらに威光の上に浅すぎた墓穴をキャスト,星霜の学者着地.
④以下,①に戻り一周するごとに威光スタックが1つ積まれていき,無限赤黒マナの状態で無限に威光スタックが積まれた状態になる.
⑤威光を解決,納墓となにかを回収し,納墓キャスト,コラガンの命令を墓地に落とす.
⑥威光を解決,納墓とコラガンの命令を回収.コラガンの命令をキャスト.
⑦以下,威光解決1回ごとにコラガンの命令を回収,キャストして無限ダメージ
インスタントの釣り竿と納墓で始動できる.前もって納墓で星霜の学者を沈めておけば,釣り竿1枚と黒×4で始動可能.誰かの勝ちが見えた後,悠々と上から勝利を攫っていこう.
採用基準
・呪文探求者
このデッキのメインエンジン.コンボに必要なパーツを全て1人で持ってきてくれる.
・星霜の学者,古術師,魔除け探しの吸血鬼
tip効果で墓地のインスタント・ソーサリーを回収することのできるカードたち.このうち,星霜の学者は唯一1回で2枚を回収できるため確定枠.古術師はこの系統の効果を持つ中で最も軽いため採用.手札から唱えることがあるのはこいつくらい.魔除け探しの吸血鬼は非常に重いが,それ故にSacrificeで生めるマナも多く,三なる方球を設置されていても古術師ループに入れる利点がある.
この系統のカードは手札に来ると非常に困るため,できるだけ少ない枚数で抑えたいが,1枚や2枚では素引きしてしまったり除外されたりした時に勝ち筋が消えてしまう.そのため,3枚の採用となった.
・Burnt offering,Sacrifice,弱者選別
生贄によりマナを生み出すタイプのカード.Burnt offeringはこの中で唯一赤マナを出すことができるため,約束の終焉の起動やコラガンループに入る際に必須になる.弱者選別は生贄のコストに関わらず4マナを生めるのでこちらもコンボパーツとして必須.Sacrificeはこの2つのような唯一性はないが,呪文探求者に頼らずに古術師ループに入る際に1つでも起動キーが多いほうが良いので採用.
・納墓
そのまま唱えるには重すぎる星霜の学者を墓地に埋める動きは勿論,古術師で回収できる呪文を一旦墓地に落とすこともでき,替えの利かない1枚.しかも,インスタント1マナでこの動きが代用できる呪文は存在しない.地味に見えるがこのデッキの(というか墓地利用の絡むデッキ全般にとって)最も重要なパーツであると言っても過言ではない.絶対に雑に使ってはいけない.
・発掘,再活性
1マナで墓地のクリーチャーを場に出せる釣り竿.呪文探求者1枚コンボのキーパーツであり,軽く使いやすい呪文ではあるが,これを使って古術師ループには入れないことには注意が必要.
・浅すぎる墓穴,縫合,死体のダンス
2マナ以上の釣り竿.こちらは古術師ループに入ることができる.この他にエンチャントの釣り竿も存在するが,コンボパーツとして利用できないので不採用とした.
・コラガンの命令
ファクト破壊,手札破壊,ダメージと3つのモードから2つを使い分けられる呪文.最も多く使う場面は無限キャストによる勝利だが,その他にもファクトとクリーチャーを同時に対処できるなど,優秀な除去として機能する.
・暗黒の儀式
一時的なマナ加速として,1枚で2マナ以上水増しできるカードは多くない.その中でも1マナから増やすことができるこのカードは破格の性能.2ターンキルのお供その1.
・波止場の簒奪者
カードゲームにおいて相手依存の能力は弱いと言われるが,こと統率者戦においては相手が3人いて誰もマナファクトを置かないということ自体が稀であるためほぼ確実にマナ加速が可能.2マナで唱えて宝物が3~4個,場合によっては6,7個出ることも珍しくない.2ターンキルのお供その2.
・猿人の指導霊
マナ加速としてのウェイトはそこまで大きいわけではないが,無から有が作り出せるのが偉い.フルタップの状態から赤霊破紅蓮破を飛ばす目的で切ることが多い.
・陰謀団の儀式,炎の儀式
主な役割は3マナを4マナに変換して3ターン目の呪文探求者をさせること.炎の儀式については,赤マナを必要とする場面が少ないことから実質無色2マナを生むような扱いになるため,少しバリューは落ちる.が,ないと困ることには変わりない.
・ヴリンの神童、ジェイス,闇の腹心
存在するだけでアドバンテージを取っていく生物.他にも継続的なアドバンテージ源として候補となる生物はいるが,いずれも戦闘などもう1工程を必要とするため優先度が下がる.相手からすれば,これにわざわざ対処するのはもったいないが,かといって放置するわけにもいかない面倒な置物として扱われる.また,変身できる機会は多くはないものの,ジェイスの裏面-3能力も強力.
・明日の見張り
上の2枚もそうだが,筆者の好みとして不要な戦闘は避ける傾向がある.単純に相手の見極めが下手なことも理由ではあるが.秘匿したカードを回収されることを恐れて戦闘の対象に選ばれづらくなることもあり,個人的に気に入っている1枚.さらに攻撃的に仕掛けながらアドバンテージを得たいなら,アズラの賭け屋や正気泥棒など,戦闘を介して効果を発動する生物を選択することも考えられる.ここは入れ替えの機会の比較的多い枠.
・ギタクシア派の調査
マナコスト0で1ドロー.実質デッキを99枚で組めるようなもの.ついでに青絡みの相手の手札を覗いておけば,安心してコンボに入ることができる.
・渦まく知識
最初は色々入れていた1マナ1ドローの最後の生き残り.引きたくなかったものを返せるのは他の1マナ1ドローにはない利点.
・本質の変転
1マナでブリンク.マナが余っていれば,呪文探求者で持ってくる札を増やすことができる.主に蒸気の連鎖をサーチして邪魔な置物をどかすために使う.単体で機能しないので何度か抜けたものの,これがないと突破できない場面も多いため結局帰ってきた.
・直観
古術師ループに関わる札が最低1枚以上手札か墓地にあれば、残りのパーツを揃えることができる.基本的に,このデッキのサーチカードは呪文探求者を探すための物が多いが,直観で釣り竿2枚を犠牲に呪文探求者を持ってくる動きは得策ではない.これをするとカウンターされた時の復帰の目をなくしてしまう上に,コンボ途中の釣り竿を先に消費してしまうと要求マナが上がってしまうことも考えられる.あくまでも決定打は古術師ループなので,直観を使うなら呪文探求者に拘らず直接そちらを狙えば良い.
・湖での水難
エルドレインの王権から入ったカウンター兼除去.このデッキにおけるカウンターは,他人の動きを妨害するためではなく自分の動きを通すための役割が大きいので,軽いカウンターを打ち消せればいいと考えれば参照する墓地の枚数はそこまで問題にはならない.また,後半になれば統率者や大型の生物を除去するためにも使うことができる.
・その他カウンター呪文(12枚)
基本的には軽いものを優先的に採用している.少々多いように感じられるが,これくらいないと自分のしたい動きを通すことができない.
この中で,常に採用の可否を考えているのが否定の力.否定の力はピッチで撃てるのが相手ターンに限られる.3人を相手にする統率者戦において,相手の動きを妨害するためだけの札は弱いという考えから何度も抜くことを考えたが,適切な代わりが見当たらないため現在まで使い続けている.実際にこれで助かる場面も多いのが悩ましいところ.
・蒸気の連鎖,サイクロンの裂け目
バウンス.除去と比べると一次避難にしかならないが,1回コンボが通れば勝てるこのデッキでは有効にはたらく.詳細は下記.
・仕組まれた爆薬,溶融,ラクドスの魔除け,毒の濁流,爆積み
設置されてしまった置物の除去.詳細は下記.
デッキの弱点
・墓地対策
墓掘りの檻,トーモッドの墓所,Rest in Peace,各種アショク,フェアリーの忌み者など.
主要コンボが全て墓地を経由するため,非常によく刺さる.
置物系を設置されることによってコンボに入れないことも困るが,一度止められた後墓地リソースを追放されると目も当てられない.ただし,古術師ループの各パーツは複数枚搭載しているので,完全に機能停止することは稀.
フェアリーの忌み者などの特定の数枚を除外するカードを打たれる場合,呪文探求者が狙われやすいが,実はそれよりも納墓や星霜の学者を除外される方が困る.呪文探求者はあくまでもコンボパーツを揃えるための手段なので,墓地にある時点で仕事を終えている場合が多いからである.
・サーチ対策
エイヴンの思考検閲者,締め付け,灯争対戦アショクなど.
墓地対策より困るのがサーチの制限をかけられること.後述の置物に対する対抗手段もデッキからサーチしてくることになるので,完全に素引き待ちの状態になる.ただ,既に古術師ループのパーツが手札・墓地に揃っているなら影響は薄い.
・土地干渉系
血染めの月,基本に帰れなど.
青黒タッチ赤の3色デッキなので,色事故を防ぐためどうしても特殊土地が中心となってしまう.これらの置物を設置する相手の場合,色に余裕があればフェッチランドなども活用して,序盤から積極的に基本土地を置いていくことが重要になる.置かれるまでの対応を誤らなければ脅威は薄いが,設置されるタイミングによっては最も対処に困る.
・虚空の盃,三なる宝球
やめてしんじゃう. とてもつらい.
コンボパーツの多くは1マナ.打ち消しも1マナのものを中心に採用している.サーチも1マナが多い.つまりとてもよく刺さる.これを置いたあとのイナーラは死に体として扱われる傾向があるので,その間に準備を整えてチャンスを伺うことになる.一応,7マナ以上の古術師系を使えば三球の上からコンボに入ることも可能.
置物妨害に対する対抗手段
前述の通り,ほぼありとあらゆる妨害置物が刺さるので,それに対する対抗手段を用意しておく必要がある.カウンターにより打ち消す余裕があるならそれに越したことはないが,ここでは既に設置されてしまったものに対する対抗手段と採用理由を論じる.
・クリーチャー除去
このデッキで設置されると困るクリーチャーとしては,月の大魔導師,エイヴンの思考検閲者,自由なる者ルーリク=サーなど.ついでにマナクリーチャーや誰かのジェネラルも巻き添えにできることを期待して,単体除去ではなくAoE呪文を中心に検討し,毒の濁流,滅び,Fire covenantの3候補まで絞ることができた.
この中で,Fire covernantは唯一自分のクリーチャーを巻き込まずに起動できるが,その分ライフ消費が激しくなりがち.「なんだかわからないけどイナーラは悪い」の認識からか,とりあえずアタックを仕掛けられることもしばしばあるので,ライフ消費は極力避けたいため選択肢から除外した.また,この構築ではそもそも巻き込まれて困るクリーチャーがほとんどいないので,採用の理由が薄い.
となると毒の濁流か滅びの2択だが,毒の濁流の数点ルーズより滅びの1マナ増を重く見たため毒の濁流を採択している.当然,クリーチャー中心の環境であれば複数枚採用も十分検討される.
・アーティファクト除去
アーティファクト除去としては最初に溶融を選択した.汚損破も候補に上がるが,あちらは超過コストで撃つには5マナ必要になる.溶融であれば,X=2~3で大抵のファクトは破壊できるため,こちらの方がコストパフォーマンスに優れる.
コラガンの命令とラクドスの魔除けもアーティファクト除去として機能する.コラガンの命令なら古術師ループのダメージ源として,ラクドスの魔除けは横に並ぶデッキや無限トークンを並べる相手へのカウンター,墓地対策としての役割も持つので,ピンポイントながらも複数の役割を持つこれらは腐りにくく,使い勝手が良い.
ファクト除去に関しては,たとえ妨害ファクトを設置する相手がいなかったとしても,マナファクトを使う相手がいないということは考えにくいため腐ることがほぼない.そのため,悩んだ末に3枚体制とした.
・エンチャント除去
色特性上,エンチャントだけに触る手段はほとんどない.そのため,パーマネント無差別破壊に頼ることになる.また,赤には高マナ域にリセットボタンが数多く存在するが,どれもマナ要求や色拘束が激しく,赤はタッチでしかないイナーラには使いづらい.
そこでまず候補に挙がるのは,爆発域と仕組まれた爆薬の2枚.これらは見ることのできる範囲が広く,特に爆発域は対処されにくい優秀な除去なのでノータイムで採用する.
次に考えられるのが,ネビニラルの円盤,爆積みなどの無色のリセットボタン.選択の基準として,次のターンには確実にリセットできるネビニラルか,運が絡む爆積みかの好みの問題という見方もできるが,それよりも,こんな見えている危険物が一周無事に帰ってくるのかの方が問題である.他のジェネラルであれば卓の平和のために協力してネビニラルを守ることも考えられるが,イナーラに関しては枷が外れれば走り出すのが誰の目にも明らかである.そのため,1対3の構図で守り抜かなければならないことを考えると,たとえ1/2でも任意のタイミングで起動できる爆積みに軍配が上がる.ただし,4マナ不確定除去は重いことには変わりないため,余程の置物環境になるまではここまでする必要はない.
・バウンス
上記の除去手段は全体にかかる分どうしても要求マナが高めなため,1手2手遅れてしまう.本来であれば,これらの置物を設置される前に対処するか,1枚程度であれば軽いマナコストの呪文で一旦バウンスするだけでもコンボを通すことができる.このために採用しているのが,呪文探求者でもサーチ可能で,土地以外のあらゆるパーマネントに触ることのできる蒸気の連鎖とサイクロンの裂け目である.
たとえ墓掘りの檻やR.I.P.が設置されている状況でも,追加で青×2マナあれば,呪文探求者着地時に本質の変転を唱えてブリンク,再度誘発した呪文探求者で蒸気の連鎖を持ってくることで無理やりコンボを通すこともできる.サイクロンの裂け目には困った時の超過という手もある.本来ならその場しのぎにしかならないことの多いバウンスも,常に「通れば勝ち」を押し付けられるイナーラにとっては優秀な除去手段として機能する.
本構築の課題
本稿のイナーラはかなり前のめりな構成になっており,3ターン目までの動きは安定するものの,1度2度止められた後に失ったアドバンテージを取り返す力はさほど高くない.そのため,4ターン目以降の動きには課題があると自分自身感じている.構築段階で継続してアドバンテージを取れる手段を増やすことも検討すべきだが,そのために本筋の動きを鈍らせることはできないので枠を割けずにいるのが現状である.
おわりに
今回,自分の思考整理と共に,周囲の方から「イナーラが強いのはわかったけど何が起こっているのかわからない」「どこを止めたら良いのかがわからない」という声が多く聞かれたことからこのような記事を書くに至りました.結果的に人に読ませる気があるのかわからないような長文記事になってしまいましたが,これでもまだ不十分だと感じているので少しずつ加筆修正していく予定です.特に,マリガン基準については非常にシビアで,初動に全てをかけるイナーラとしては絶対に甘えたキープが許されないものなので是非とも考察したいと考えています.握る方も握られる方もデッキについての知識を持っていればお互いそれだけ楽しめるので,より多くの人にイナーラを知ってもらえれば幸いです.ご意見ご感想もお待ちしています.
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コメント
弱者選別、古術師、浅すぎる墓穴だと、弱者選別が手札に入った時に成立しないのではないですか?
おっしゃる通りです。関係する札が一枚最低一枚手札か墓地に既にある前提でないと成立しませんね。訂正しておきます。ありがとうございます。