《呪文探求者》
 デッキコンセプト.これ1枚からのコンボがメインウェポンでもあり,一度出れば墓地と戦場を反復横飛びしながら過労死するまで働かされる.1枚から威光込みで2枚サーチでき,サクリ手段と釣り竿を持ってくれば繰り返し利用できる.詳細はコンボ編の方で.
 

古術師系統
《星霜の学者》
 2枚回収できるのはこれだけ.イナーラのコンボは大抵1枚から1枚を持ってくるカードを威光込みで2枚に増やす動きによるものだが,これだけそもそも1枚→2枚なので威光込みで4枚回収できる.色々おかしい.
確定枠.

《古術師》★不採用
 この系統の2枚目が必要になるのは,何らかの理由で《星霜の学者》が使えない場合.
 最も多いのはループに入ろうとして《フェアリーの忌み物》等で咎められた後なので,《納墓》も使えないと考えると縦引きorサーチして手札から唱えるためにできるだけマナコストの低いものを採用したい.
 問題は,《古術師》だとループしても無限マナまでいけないこと.デモコンタッサや墓地を使わないルートなどがある今,無理に採用する必要はない.


釣り竿
《再活性》《発掘》《浅すぎる墓穴》
 コンボパーツでもある優秀な釣り竿.ここまでは確定.

《縫合》
 墓地から手札に回収,スレッショルドを達成すると場に戻すことができる.
 《呪文探求者》でサーチできる釣り竿なので優先して入れられる.


Sacrifice系
《Sacrifice》
 生贄にしたクリーチャーのマナコスト分の黒マナを生むことができる.ループのパーツになる.
 《タッサの神託者》の登場で,黒マナのみでもインスタントウィンできるようになった.が,実は《Burnt offering》があればこいつはいらないのでは…?とずっと考えている.

《Burnt offering》
 赤と黒を生み出せる《Sacrifice》.固有色の縛りがある意外は上位互換.確定枠.

《弱者選別》
 Sacrificeと違い,生贄のマナコストに関わらず4マナ生み出すことができる.
 呪文探求者を生贄にして4マナ生めるのが利点.確定枠.


サーチ
 3Tまでに《呪文探求者》を出したい関係上,最低でも本体合わせて10枚程度はサーチ手段を持っておきたい.

《吸血の教示者》
《伝国の玉璽》
《悪魔の教示者》
 いつもの.入れない理由がない.

《神秘の教示者》
 いつもの.《納墓》と釣り竿の足りていない方を揃えたり,打ち消しを準備したり.

《ギャンブル》
 釣り上げ手段がある関係上,失敗しても回収できるチャンスがあるので躊躇なく撃つことができる.
 まぁ1マナ万能サーチという時点で関係なく採用するし博打打つけどね.

《リム=ドゥールの櫃》
 デッキトップから5枚ずつ確認していき,気に入った組が見つかるまでやり直せる.
 ただし,1回やり直す度に1点ルーズ.1周すれば必ず欲しいものは見つかるので,どんなに払っても18点だろう.
 実質確定サーチだが,写本裁断機などが見えている時には引きたいものを1枚目に置くか2枚目に置くかの読み合いが発生する.

《願い爪のタリスマン》
 《捧げ物の魔道士》から持ってこられる万能サーチ.
 一度使うと相手に渡さなければならないので,起動したらそのターンで勝ち切るつもりで.

《ヴィダルケンの霊気魔導士》
 ウィザードサイクリング.3マナとはいえ,インスタントタイミングで持ってこられるのは偉い.大抵の場合は《呪文探求者》をサーチしてくることになるが,《ザルファーの魔道士,テフェリー》を持ってくることも.あと,たまにインクの染みでスリヴァーをバウンスする.

《帝国の徴募兵》
 パワー2以下ならなんでも持ってこられるすごいやつ.《呪文探求者》をサーチする回数が一番多いが,《騙し討ち》下では《霊気の達人》でバウンスして使いまわしたり,《波止場の恐喝者》でマナを増やしたりと仕事が多い.これがあるので,《魂の洞窟》の指定はウィザードより人間にしておいた方が良い.

《捧げ物の魔道士》
 威光で2回サーチできるので,《願い爪のタリスマン》や《征服者のフレイル》,マナファクトなどを状況に合わせて揃えられる.最速でゲームが終わらなかったら《フレイル》などで蓋をしないと勝ちきれないことが多いのでそこにアクセスできるのは偉い.

《ゴブリンの技師》
 1周生き残らないと十分な仕事をしない生物はあまり好きではないんだけど,直接コンボに入ろうとしてもどうにも通りそうにないゲームでは,《征服者のフレイル》にアクセスでき,キャストを挟まずに釣り上げ→装備までいけるこのカードの価値は高い.

《直観》
 《呪文探求者》《発掘》《再活性》を選べば一応1枚でループまで繋げる.(ただし《直観》を除いて9マナor7マナかかる)
流石に重すぎるので,基本的には,以下のような条件で不足したコンボパーツを供給するためのもの.
 手札に《再活性》or《浅すぎる墓穴》or《縫合》がある→《納墓》《星霜の学者》《陰謀団式療法》
 手札に《納墓》がある→《再活性》《浅すぎる墓穴》《縫合》


妨害・パーマネントに触る手段
《ザルファーの魔道士,テフェリー》
 出てしまえばほとんどの妨害を受けなくなる.トリプルシンボルが重いがクローザーとして優秀.こいつも人間ウィザードなので,《魂の洞窟》とセットで揃っていれば,エンドテフェリーから安全にゲームエンドまで持っていける.

《征服者のフレイル》
 テフェリーとやることは同じ.こちらは装備品.
 2マナのアーティファクトなので《捧げ物の魔道士》からサーチしてくることができる.

《ヤヘンニの巧技》
 全体マイナス修正の後,手札から3マナ以下の呪文を踏み倒して唱えられる.
 《エイヴンの思考検閲者》などを流しながら《呪文探求者》を投げつけたい.自分がさほど生物を並べないので,場を流せるカードはなにかしら採用したいがその中でも最優先.
 
《バラルの巧技》
 うまわざその2.今度は3枚バウンス+4マナ以下踏み倒し.
 ありとあらゆる妨害が刺さるので雁字搦めになってなにもできないことも多いイナーラだが,3つも退かせば比較的余裕を持って動き出せる.

《サイクロンの裂け目》
 代えのきかない単体兼全体バウンス.

《蒸気の連鎖》
 一番軽いバウンス.墓地対策が場にあるときにコンボに入ろうと思うと,最初のサーチをここから始める必要がある.

《霊気の達人》
 登場時に生物バウンス.威光を合わせると2体バウンスできる.自身を戻すことで使いまわしも.
 《騙し討ち》設置時にはループコンボのキーパーツになる.

《仕組まれた爆薬》
 一度着地を許してしまうとクリーチャー以外には干渉しづらい色構成なので,貴重な万能除去.

《コラガンの命令》
 ファクトと生物の除去,除去と回収など,活躍できる幅が広い.無限キャストでフィニッシャーにもなる.《タッサの神託者》が来てから必須のコンボパーツではなくなったが,単体でも優秀なのでそのまま採用.

《法務官の掌握》
 《タッサの神託者》《死の国からの脱出》全盛期の今,人の勝ちを遠ざけながら自分のためにも使える可能性がかなり上がっている.《神託者》はシンプルに自分の2枚コンボの片割れとして使えるし(《神託者》が既に手札にあるなら《Demonic consultation》でもいい),《脱出》を引き抜ければ一度止められたコンボに復帰するために利用できる.従来よりも相当に価値が上がっている気がする.

《真髄の針》
 鍼治療しておかないと好き放題する人が多くて困ってしまう.積極的に入れたいかと言われればそうでもないのだが…


手札を増強する生物
《ヴリンの神童,ジェイス》
 タップしてルーティング.
 変身すると,小マイナス能力で墓地のインスタントかソーサリーを使い回せるので,デモコンとの2枚コンボが可能.

《遵法長,バラル》
 インスタントとソーサリーが1マナ軽くなる.軽くしたいというより,《スレイベンの守護者,サリア》や《抵抗の法球》を無視できるのが強い.打ち消しルーティングはおまけ.タフネス3がえらい.

《闇の腹心》
 生き残れば安定して手札を増やせる手段.重いカードもさほど多くないので,受けるダメージもそれほど痛くない.

《影魔道士の浸透者》
 地味だが優秀なドローソース.威光で疑似速攻したりする.タフネス3がえらい.

《アズラの賭け屋》
 ウィザードではないが,手札を捨てられて2枚ドローできるのは他にはない良さ.スタッツも悪くない.


マナ加速
《魔力の墓所》《太陽の指輪》《モックス・ダイアモンド》《金属モックス》《魔力の櫃》《厳かなモノリス》《秘儀の印鑑》《威圧のタリスマン》
 いつものマナファクトたち.《モックス・ダイアモンド》は1,2ターン目に走り出すためには大きく貢献するが,そんなに土地が余っていることがないので中盤以降引くとあんまり役に立たない.

《暗黒の儀式》《陰謀団の儀式》《猿人の指導霊》《水蓮の花びら》
 一時的マナ加速.黒マナは量が必要になることが多いので重宝する.赤はあと1マナをズルしたり,フルタップから《赤霊破》《紅蓮破》を飛ばしたり.

《波止場の恐喝者》
 赤の最強マナ加速手段.出る宝物の数によっては,《霊気の達人》と組み合わせると無限宝物になる.


打ち消し
《意志の力》《否定の契約》《精神的つまずき》
 0マナで撃てるやつら.3ターン目フルタップで呪文探求者を叩き付けるためにはできるだけ多く取りたいが,他にロクなピッチスペルがないためここで止まっている.コマンダーピッチ使いたい…

《白鳥の歌》《狼狽の嵐》
 1マナ打ち消し.2マナ打ち消しを撃てる余裕はあまりないので基本的にはここまでで収めたい.
 《狼狽の嵐》は同カードを打ち消せるのがえらいので抜けないが,不確実なので相手のマナ状況は見極めながら使おう.

《赤霊破》《紅蓮破》
 打ち消しの打ち消しとしても有用だが,ループに入る際にリス研やレモラが邪魔になるのでそれらを割るためによく使う.

《マナ吸収》
 これは打ち消しというよりマナ加速.人のジェネラルを食って《征服者のフレイル》を置きたい.

《もみ消し》《計略縛り》
 常にイナーラをわからせにくる《フェアリーの忌み者》に対抗するために必要.最近は《タッサの神託者》を咎める意味合いが強い.


その他必須,サブプラン等に関わるもの
《納墓》
 なんでも落とせる.代わりのきかない1枚.

《タッサの神託者》
 サブの勝ち手段兼ループコンボのフィニッシャー.

《Demonic consultation》
 《神託者》と2枚コンボになる.
 《ヴリンの神童,ジェイス》が《束縛なきテレパス,ジェイス》に変身できていれば,1回目で《神託者》を探し,《ジェイス》-3で再キャストすることでも勝ちに行ける.
 たまに,ループの締めに飛んでくる《フェアリーの忌み者》に対応して《もみ消し》を探しに行くことも.

《騙し討ち》
 流石に重い置物なので採用を躊躇していたが,着地してしまえば《帝国の徴募兵》との組み合わせでインスタントウィン.墓地も使わず,呪文のキャストもないのが良い.

《本質の変転》
 1マナブリンク.主に《呪文探求者》をブリンクしてサーチをかさ増しする用.他にも《波止場の恐喝者》などcip効果持ちの使いまわしができるほか,擬似的な除去回避にもなる.

《約束の終焉》
 マナを工面しながらなにかをしたり,リアニと納墓を同時にこなしたり,不可能が可能になる1枚.
 単純に1枚から2つの呪文が飛び出すので,コンボルートを考えるときに終焉の存在を思い出すと1~2マナ軽くなったり繋がらないはずのものが繋がったりする.

《陰謀団式療法》
 手札に来てしまった《星霜の学者》を落とすために入れたが,単純に前方確認としても優秀.
 

土地
 計32枚
デュアルランド3,ショックランド3
基本土地各1
冠雪の沼1
フェッチランド9
バトルボンド2色土地青黒,赤黒
地底の大河
5色土地5
 序盤の優先順位としては,黒≧青>赤.
 基本となるコンボの派生で黒が複数要求されることが多いため,黒は出るに越したことがない.ただ,《騙し討ち》を使う時のみ赤が要求されるので,一通り揃った後マナを増やすなら優先度は黒>赤>青.

《魂の洞窟》
 これ込みで《呪文探求者》を出したところで,サーチしてきたものを打ち消されれば意味がないと考えるとあまり強くない気がする.勿論,テフェリーで完全に蓋をできるという必殺技がある以上抜くわけにはいかないのだけれど,見た目ほど雑強ではない.
 指定はウィザードまたは人間.人間でないウィザードは《タッサの神託者》があり,ウィザードでない人間は《帝国の徴募兵》があるので状況による.ゴブリン指定で《ゴブリンの技師》や《波止場の恐喝者》をサポートすることも.

《宝石の洞窟》
 2ターン目呪文探求者に大きく貢献する.デッキによっては1枚減るのが苦しいこともあるが,元々がギチギチにマリガンするデッキなのでさほど気になったことはない.流石に5枚スタートからは気にするけれど.

《古えの墳墓》
 2マナ出る土地はただ置くだけで3ターン目に4マナ到達するだけで偉い.しかし無色しか出ない土地はあまり増やしたくないのでこれと爆発域のみ.

《ヨーグモスの墳墓,アーボーグ》
 上でも書いたが黒マナは数が欲しいのでこれ1枚で色ガバになってくれるのはありがたい.

《爆発域》
 土地というより複数枚に触れる除去の1枚としての運用.2マナ以上に触るには時間がかかるが,他の除去と比べると邪魔されづらい.

自分で使っていてどんどん頭がこんがらがってくるのでとりあえず整理.
ワンダーワインとか二重詠唱ループは使ったことないので省略.
他にも迂回路や〇〇がない時,などのパターンは思いつき次第追記していく.


[]内は使用マナとコストを,()内は残り浮きマナを示す

呪文探求者1枚コンボ(基本形)
UB2,手札に《呪文探求者》からスタート.途中7点ダメージあり.
①《呪文探求者》[U2],威光→cipの順でスタックに積む
②cip解決,《弱者選別》サーチ,《弱者選別》[B+探求者](BBBB)
③威光解決[1],探求者トークンcipで《発掘》サーチ(BBB)
④《発掘》[B]対象《探求者》(BB)
⑤威光[1]と本体cip解決,《Burnt offering》《約束の終焉》サーチ(B)
⑥《Burnt offering》[B+探求者](RRB)
⑦《約束の終焉》X=1[RRB]対象《発掘》,《弱者選別》
⑧《弱者選別》[探求者トークン],《発掘》対象《探求者》(BBBB)
⑨威光[1]と本体cip解決,《納墓》《再活性》サーチ(BBB)
⑩《納墓》[B]対象《星霜の学者》.《再活性》[B+7点]対象《学者》(B)
⑪威光の上からcip効果誘発.《Burnt offering》《納墓》回収.(B)
⑫《Burnt offering》[B+学者](B×7),《納墓》[B]対象《墓穴》(B×6)
⑬威光解決[1],《Burnt offering》《墓穴》回収.(B×5)
以後,古術師ループ(後述)に入る.

基本の形.軽くて速い.ただしソリティア時間は長い.
結局のところ何をしているかというと,マナを捻出しながら《Burnt offering》,《浅すぎる墓穴》,《納墓》(→《星霜の学者》)の3枚を墓地と手札に揃えている.最初は《呪文探求者》と威光によるトークン合わせて2枚のサーチを「マナ捻出+リアニ」で工面するが,《約束の終焉》を挟むと1枚が2枚に化けることでマナ捻出とリアニに加えて《納墓》をサーチしてくることが可能になる.
最初からマナがUUBBB3あるのであれば,最初に《本質の変転》などで《探求者》をブリンクすることで途中の過程は省略できる.

・《星霜の学者》が手札に来てしまった場合
⑧の《納墓》で《陰謀団式療法》を落とし,自分を対象にフラッシュバックで唱えて《星霜の学者》を落とす.生贄は探求者トークン.

・《納墓》が墓地に落ちている場合
追加でBが必要.
⑦の《約束の終焉》で《納墓》《発掘》を追放,《学者》を落として《探求者》を釣り上げる.
探求者から《Sacrifice》(または《暗黒の儀式》)と《墓穴》をサーチ.
《Sacrifice》で探求者トークンを生贄にBBBを生む.
《墓穴》で《学者》を釣り上げたらループスタート.
※《探求者》本体を生贄に《Sacrifice》を使ってしまうと,《墓穴》で《学者》が釣れなくなるので注意.

・《発掘》が墓地に落ちている場合
追加でBが必要.
③で《発掘》の代わりに《再活性》をサーチする,⑦で《浅すぎる墓穴》をサーチする.
あとは同じ.

・場に墓地対策(R.I.P.など)が1枚出ている場合
追加でUUが必要.
最初の《呪文探求者》で《本質の変転》と《蒸気の連鎖》を持ってくる.《蒸気の連鎖》で墓地対策をバウンスし,《本質の変転》で探求者ブリンク,後は②から同じ.


古術師ループ
墓地or手札に《古術師》《Sacrifice》《浅すぎる墓穴》の3枚が揃ったら始動.
ただし,《古術師》《墓穴》のどちらかは手札に必要.

以下,《古術師》《Sacrifice》が墓地,《墓穴》が手札にある形からのループを記す.
①《墓穴》対象《古術師》[B1]
②威光→cipの順にスタックを積む,cip解決《Sacrifice》回収
③《Sacrifice》[B+古術師](BBBB)
④威光解決[1],《墓穴》回収.対象《古術師》で再度唱える[B1](B)
⑤②に戻る.以下1ループごとに速攻持ちトークンが1体ずつ増える

場合分けは以下の通り.
《古術師》墓地→上記の通り.BB1必要.インスタントタイミング可
《古術師》が手札→最初に《古術師》キャストする分余計にマナが必要
《古術師》が盤面→墓地に落とす手段が必要.手札に《Sacrifice》があればBからループに入れる

※その他代替カードを使った場合など
・《古術師》を5マナ以上の同系能力持ち(《秘密の回収者》,《魔除け探しの吸血鬼》,《星霜の学者》など)にすれば,1ループにつき(マナコスト-4)マナずつBが浮く.
・《墓穴》の代わりに《再活性》を使えば,1ループでの消費が3マナになるので《古術師》からでも黒マナ捻出が可能.ただし,マナコスト分ずつライフを失う.
・《Sacrifice》を《Burnt offering》にすれば,Bに加えてRも生める.
・《古術師》の代わりに《星霜の学者》を使えば,威光と合わせて回収枚数が4枚になる.これにより,墓地にあるインスタント・ソーサリーがループの過程で回収できるようになるので,《納墓》があればループ中にデッキから任意のインスタント・ソーサリーを手札に加えられる.


納墓+浅すぎる墓穴
①《納墓》[B],対象《星霜の学者》
②《浅すぎる墓穴》[B1],対象《学者》
③《学者》着地,威光の上からcip解決,《納墓》《墓穴》回収
④《納墓》[B],対象《Burnt offering》
⑤威光解決[1],《墓穴》《Burnt offering》回収
以下,古術師ループに入る

 古術師ループとほぼ同じだが,結構よく見る形.
BBBB2と2枚でインスタントタイミングからループに入ることができる.

最終的には,無限速攻トークンでのコンバット,無限トークン+BB1の状態から《納墓》で《タッサの神託者》を落として《墓穴》で釣り上げ特殊勝利,《納墓》対象《コラガンの命令》→無限回収無限キャスト(《星霜の学者》+《Burnt offering》限定),などの手段で勝利できる.


墓地を使わない呪文探求者1枚コンボ
1ターン目にURR3,追加ターンにUUUBB1,手札に《呪文探求者》でスタート.

①《呪文探求者》[U2],威光[1]+cipで《本質の変転》《最後の賭け》サーチ
②《最後の賭け》[RR],ターン終了
③追加ターン,アップキープ《本質の変転》[U]対象《探求者》
④威光[1]と本体cip解決,《吸血の教示者》《Demonic consultation》サーチ
⑤《吸血の教示者》[B]《タッサの神託者》サーチ
⑥メイン,《神託者》[UU],cipの上から《Demonic consultation》[B]

色拘束は厳しく,仕損じれば《最後の賭け》により敗北.が,墓地対策に悩まされ続けてきたイナーラにとっては選択肢としてこれがあること自体が偉い.
《法務官の掌握》で《納墓》を抜かれたときなども使える.
最後に追加1マナあれば,《神託者》を威光でコピーしてcipを2回誘発させることで《もみ消し》1枚までは回避できる.
(とか言いつつ実は自分は抜いてしまった)


直観1枚ルート
①《直観》で《呪文探求者》《発掘》《再活性》を選択
《呪文探求者》が選ばれた場合(UBB4)
②《呪文探求者》[U2],cipで《Burnt offering》サーチ
③《Burnt offering》[B,探求者](BRR)
④威光解決(残りRR),《約束の終焉》サーチ
⑤《終焉》[X=1]から《発掘》対象《探求者》,《Burnt offering》[トークン](BBB).
⑥《探求者》威光とあわせて《納墓》《浅すぎる墓穴》サーチ(BB)
⑦《納墓》対象《星霜の学者》,《墓穴》[1]でそのまま釣り上げ
⑧cipで《Sacrifice》《墓穴》,そのまま《Sacrifice》キャスト[B,学者]
  以下古術師ループ
《発掘》《再活性》が選ばれた場合(BBB2)
⑨《発掘》or《再活性》[B]対象《探求者》
あとは②からと同じ

流石に重すぎるので,以下のような条件で不足したコンボパーツを供給するのに使うことが多い.
手札に《再活性》or《浅すぎる墓穴》or《縫合》がある→《納墓》《星霜の学者》《陰謀団式療法》
手札に《納墓》がある→《再活性》《浅すぎる墓穴》《縫合》


騙し討ち+帝国の徴募兵
《騙し討ち》設置下で手札に《帝国の徴募兵》があり,RRRR1で始動.
これも墓地を使わない.
①《騙し討ち》起動[R],《帝国の徴募兵》着地,《霊気の達人》サーチ
②起動[R],《霊気の達人》cip+威光[1]で《徴募兵》《達人》バウンス
③起動[R],《徴募兵》から《波止場の恐喝者》サーチ
④起動[R](以下省略),《恐喝者》から宝物トークン×3以上
⑤《達人》と威光で《達人》本体と《恐喝者》をバウンス,再度着地を繰り返すことで無限トークン
⑥《達人》で《徴募兵》バウンス,《徴募兵》着地からサーチ《タッサの神託者》
⑦《タッサの神託者》cip,無限トークン無限信心で勝利.


デモコンタッサ
①《タッサの神託者》[UU]
②cipの上から《Demonic consultation》[B],対象はデッキに存在しないカード
③デッキ全追放から《神託者》効果で勝利

青黒なら必ずといっていいほど入るお手軽2枚コンボ.
 イナーラの場合,威光で《神託者》をコピーすることで2回誘発させ,《もみ消し》系統1枚までならすり抜けることができる.

 Twitterで「EDHプレイヤーなら数字で語れ」的な話題をいくつか見たので,自分が使っている中で,最も要求値が高いのに何故か最も安定して回すことができている《フェイに呪われた王,コルヴォルド》について諸々のパーツを引ける確率を計算してみた.当然,安定するように組んでいるからそのような結果になっているのだが,体験は客観的論拠に基づいて示してこそ活用できるとどっかで教わった気がするので.

前提条件:計算は yazirusis.com/calc/probability.html と一部手計算で算出.マリガン条件は「選択なし重複あり」に設定(フリーマリガン1回,横除けなしの状況).初手ドローあり.


今回は「○ターン目まで(想定される枚数を山札の上から引くまで)にキーカードが揃う確率」を計算したものであり,フェッチランドやサーチによるデッキ枚数の変動や他の項目との相互関係は無視するものとする.また,何%あれば安定して引けると言って良いのかについては検討していない.あくまでも,ざっくりと安定感を見る程度のものとして読んでいただきたい.
独立した各要素をすべて満たす確率を出すようなことは今回行っていない.ただでさえガバガバ計算なのに誤差が蓄積して目も当てられないことになると予想されるため.


土地関係

 コルヴォルドを使う上で最も重要なのが,ジェネラル着地まで安定して土地が置けること(多分どのデッキでも同じだが).基本は3~4T目の着地を目指すが,今回は理想的な動きができる確率が知りたいため,3Tまで土地が伸びることを目指す.
次に必要なのが,4Tまでに最低1枚のフェッチランドにアクセスできること.コルヴォルドをドローエンジンとして機能させるための必須パーツ.1枚引き込んでしまえばラムナプの採掘者や世界のるつぼ,レンと6番などで使い回すことができる.

① 3Tまで毎ターン土地が置ける確率

土地38 枚だと,3T目までに3枚以上引ける確率は94.3%
同じ要求値で土地を35枚まで減らすと87.4%,32枚だと81.5%まで下がるので,ジェネラル自体が激重+安定感を求めるこのデッキだと妥当な枚数だと言える.
フェッチを切る関係上,実際はもう少しだけ低くなるけど,基本的には誤差の範囲のはず.計算しようと思ったけどフェッチが絡むと場合分けが途端に面倒になるのでやめてしまった.

② 4Tまでにフェッチランドにアクセスできる確率

フェッチランドは,青白を除くアンタップインフェッチ9枚と虹色の眺望の計10 枚を投入する.この場合,
3Tコルヴォルド着地誘発の1ドローを足して4Tまでに1枚以上引ける確率は88.1%
4Tコンバット誘発によりもう1枚ドローしていると89.5%
3,4Tにジェネラルキャストできず,1ドロー追加できなかった場合は86.6%

寓話の小道も投入してもいいが,4ターン目まではタップインとなるため今回は考慮に入れない.もちろんその後の動きを安定させるためには十分投入も検討できる.

マナ加速

前述の状態を成立させるために揃えておかなければいけないのが,毎ターン土地を置けることに加えて1,2Tのマナ加速が十分にできること.《魔力の墓所》,《暗黒の儀式》,《ほくちの壁》,《太陽の指輪》の4種類は,これ1枚で2マナの加速が可能なため3Tジェネラルキャストが成立する.これ以外の1,2マナ加速なら2枚以上必要.《魔力の墓所》,《暗黒の儀式》は3ターン目に引いてもよいが,今回は計算が煩雑になるため2Tまでに引き込める確率を計算する.
2マナ分加速できる4枚を2Tまでに1枚以上引ける確率は49.6%
1マナ分加速できる18枚を2Tまでに2枚以上引ける確率は69.6%
どちらも揃わない確率は15.3%
どちらか片方は揃う確率は84.7%

システムとなる置物の設置

コルヴォルド着地後に設置したいものは,大別して,
①墓地からの土地セットor回収をするもの
②土地のセット権を追加するもの
の2種類.
 ここまで準備ができれば,あとは安定して動くことができる.

①に該当するのは《ラムナプの採掘者》《世界のるつぼ》《レンと6番》の3種類.このうち,サーチが容易な採掘者を積極的に狙っていくことになる.現在,クリーチャーをサーチできるカードは13枚入れているが,《最後の願い》に関しては重いので除外して12枚を計算に入れる.すると,計15枚のうち1枚を4Tまでに引き込めればいいので,

4Tコンバットとフェッチ1回分のドローを合わせてアクセスできる確率が97.5%
フェッチをきることができず,コンバット前だったとしても96.3%
 
 ②に該当するのは《迷える探求者,梓》《ムル・ダヤの巫女》《イリーシア木立のドライアド》《むら気な長剣歯》の4種類.すべてクリーチャーなので,①と同様に12枚のサーチカードを含めて計算する.

4Tコンバットとフェッチ1回分のドローを合わせてアクセスできる確率が98.1%
フェッチをきることができず,コンバット前だったとしても97.1%

確率からわかること

 上記のように,このデッキを回すに際して必要な項目の多くは90%以上の確率で必要な段階までに揃う(90%が高いか低いかは別として.りゅうせいぐんやねっぷうの命中率と思うと低い気がしてくるのは秘密).
 システムクリーチャーについては,必要なターンまでに設置できる確率がいずれも高く(97.5%と98.1%),ここについては然程注意を払わなくても揃えられると考えられる.土地についても,一般的なEDHのデッキよりも多めに入れているので,3Tまでは毎ターンのセットを安定して行える(94.3%).
 逆に90%を切っているのは,「4Tまでにフェッチランドにアクセスできる(89.5%)」と「マナ加速が間に合う(84.7%)」の2つ.フェッチランドはなくても展開自体はできるが,マナ加速が間に合わないと数ターンの遅れに繋がるので,優先してケアするべきはマナ加速だろう(だいもんじの命中率とだいたい同じというと信用するわけにはいかないことがわかる).そのためには,枚数を増やすかマリガンの基準を厳しく取るかどちらかになるが,マナ加速については現時点でも割と限界まで積んでいるのでできればマリガンで対処したい.今回はフリーマリガンまでの数字なので,マナ加速について不十分な手札だった場合には1枚少なくなってもマリガンした方がいいかもしれない.

マリガン基準を考える

以上のことからマリガンの基準を考えると,無いと始まらないのが土地(最低2枚できれば3枚),意識的に揃えなければいけないのがマナ加速,その他はなんとかなると考えるのが良さそう.
以下は,初手7枚(マリガン1回)に特定のカードがある確率を示す.

マナ加速2枚以上かつ土地3枚以上を含む確率→35.2%
マナ加速2枚以上かつ土地2枚以上を含む確率→59.5%
マナ加速1枚以上かつ土地2枚以上を含む確率→89.6%
マナ加速1枚以上かつ土地3枚以上を含む確率→66.7%

理想的な初手としてはマナ加速が2枚と土地3枚.これならば,初手の中身だけで3Tコルヴォルドキャストが可能.妥協点としては,土地についてはデッキの1/3以上投入しているので1枚くらいはあとから引けると考えて2枚にするくらいか.それだと揃う確率は59.5%.ただし,これでもまだ4割以上は揃わない計算になる.まぁ,これだけ揃えばキープしていいだろう.
マナ加速1枚と土地2枚まで妥協すれば89.6%まで上がるが,2Tまでにマナ加速をもう1枚+3Tまでに土地を1枚以上引かないといけないので開始後の要求値がとても高い.これが揃っていて初手5枚まで減らすかとなるとかなり怪しいが,6枚キープまではマリガンした方がマシだろう.



…はじめての試みだけど面白いなこれ.
Lazav, the Multifarious / 万面相、ラザーヴ (青)(黒)
伝説のクリーチャー — 多相の戦士(Shapeshifter)
万面相、ラザーヴが戦場に出たとき、諜報1を行う。(あなたのライブラリーの一番上からカードを1枚見る。あなたはそのカードをあなたの墓地に置いてもよい。)
(X):あなたの墓地にある点数で見たマナ・コストがXのクリーチャー・カード1枚を対象とする。万面相、ラザーヴは、名前が《万面相、ラザーヴ/Lazav, the Multifarious》であり、他のタイプに加えて伝説であり、この能力を持つことを除いてそれのコピーになる。

1/3


 ラヴニカのギルドで登場したディミーアのギルドマスター.通称新ラザーヴ.登場時に諜報1と,Xマナ起動で墓地にいる点数で見たマナコストがXのクリーチャーに変身することができる能力を持つ.ただし変身しても名前はラザーヴのままで,起動効果は何度でも使えるので乗り替え自由.ジェネラル自身が非常に軽いため,2ターン目の着地が安定し,墓地さえ肥えていれば3,4ターン目には巨大クリーチャーやコンボパーツに化けることができる.様々なクリーチャーに化けながら多彩なコンボを決めていく戦い方は,フレーバーテキスト的にもラザーヴらしさがあり,構築の自由度も高く楽しめるジェネラルとなっている.

ラザーヴは,効果で墓地のクリーチャーのコピーとなれるため,基本的には「先置きできる釣り竿」として使う.リアニメイト系呪文を使う場合との相違点は大きく2つ.
1つ目は,cip効果が誘発しないこと.これにより登場時のデメリット効果を無視することができる.たとえば,《ファイレクシアン・ドレッドノート》は1マナ12/12という驚異的なスタッツの対価として,登場時にそのパワーに等しいだけの生贄を要求するクリーチャーだが,ラザーヴでコピーすれば「登場時」を経験することなくドレッドノートのコピーとなれるので生贄を用意する必要がない(反面,登場時のメリット効果も利用することはできない).
2つ目は,インスタントタイミングで次々と異なるクリーチャーに変身することができること.たとえば,《トリトンの岸忍び》などのアンブロッカブルクリーチャーに変身して攻撃→ブロックタイミング通過後に《ファイレクシアン・ドレッドノート》に変身すれば,ブロックされることなく12点のダメージを通すような動きができる.
更には,たとえ変身したとしてもあくまでも1体のクリーチャーであるため,自身に効果を付与するような起動効果があれば,それを持続させたまま別のクリーチャーに変身することもできる.《媒介のアスプ》に変身→起動効果で感染付与→ドレッドノートに変身すれば感染持ち12/12の出来上がり.岸忍びになって攻撃→ダメージ計算前アスプ感染付与→ドレッドノートまで繋げれば,4マナで1人確殺できる.

他にも,おにぎりウーズコンボ(詳細は下記)のパーツを墓地に揃えれば,任意のタイミングで壊死のウーズに変身してコンボに入れるなど,本来ならば手札に釣り竿を用意しなければ決まらないコンボがラザーヴを先置きしておくだけでいつでも起動できるようになる.また,実際にそのクリーチャーが墓地から戦場に出てくるわけではないので,墓掘りの檻があっても問題なく動けるなど,ある程度墓地対策への耐性があるのも利点(R.I.P.は置かれたら死ぬ).


メインプラン

・《壊死のウーズ》+《Phyrexian Devourer》+《トリスケリオン》or《歩行バリスタ》
 通称おにぎりウーズ.戦場に《壊死のウーズ》,墓地に《Phyrexian Devourer》(おにぎり)と《トリスケリオン》が揃えば,おにぎりの効果でデッキトップ追放してマナコスト分の+1/+1カウンターを乗せる→トリスケの効果で+1/+1カウンターをダメージに変換を任意の回数繰り返すことでデッキ内の総コスト分のダメージを飛ばすことができる.詳細はおにぎりウーズで検索すればたくさん出てくるので省略.
 一般的には《生き埋め》で3枚を落とした後にリアニメイト系呪文を使ってウーズを釣り上げる2枚コンボとして運用することが多いが,ラザーヴの場合は先置きしたラザーヴでウーズをコピーすることで釣り竿を手札に用意せずとも起動することができるため,実質《生き埋め》1枚(+ジェネラル)コンボが成立する.最も簡単に勝ちに繋がるため,これが決まり手となる回数がおそらく最多.

・《ファイレクシアン・ドレッドノート》+《媒介のアスプ》+《トリトンの岸忍び》(などのアンブロッカブルクリーチャー)
 ブロック不可感染12点.アンブロッカブルの《トリトンの岸忍び》に化け,ブロックさせずにダメージ計算前までいき,《媒介のアスプ》へ変身,1マナ払って感染を付与した後に《ファイレクシアン・ドレッドノート》に変身すると毒カウンターを一気に12個押し付け1人確殺.
こちらも《生き埋め》1枚から決められるが,1人しか落とせないためわざわざ狙うことは少ない.ただ,3枚全部揃わなくても戦力として十分使えるところが利点.ドレッドノートだけしか落ちていなくても,単純に1マナでコピーできる12/12というだけで強力だし,ここに感染が付けばブロックを強いることができる.別に12点出せなくても,中打点のアンブロや感染だけでも統率者ダメージや毒を蓄積できる.ウーズで速攻ゲームを終わらせられない場合はこちらのプランで圧をかけていくことが多い.

・《タッサの神託者》+《Demonic consultation》
 ジェネラルとシナジーがあるわけではないが,現状ディミーアカラーでこれを入れない理由がない.というか.墓地利用コンボをメインに据える以上,墓地対策をしっかり張られた時の保険として入れておかざるを得ない.

その他おもちゃコンボ
 ちょっとやってみたかったのとかオサレコンボとか.多分書き出したらきりがないくらいの組み合わせはあるはず.

・《地獄の樹》+《墓所のネズミ》
 おもちゃ枠.《地獄の樹》の効果で自身のタフネスと相手ライフを入れ替え→解決前にネズミに変身しておくことで参照タフネスを1にすることができる.そしてネズミの効果をX=1で起動すれば1人死亡.どちらも単体でも機能しうる(若干あやしい)クリーチャーであるため.とりあえず入れている感じ.

・《ジェイスの文書管理人》+《概念泥棒》
 狙ったわけではないがなんかちょこちょこ決まる枠.全員ハンデス+大量ドロー.

・《触れられざる者フェイジ》+《トリトンの岸忍び》
 説明不要.ちょっとやってみたかった枠.真面目にやったら真っ先に抜ける?知ってるよ!


構築と動きについて

 まず,取りうるルートは2つ.
①最速で《生き埋め》にアクセスしてゲームを決める
 1ターン目サーチ,2ターン目ラザーヴキャスト,3ターン目生き埋め,4ターン目ウーズコピー.
ハードルはかなり高い.まず,ラザーヴが除去されない.次に,生き埋めが打ち消されない.そして,墓地が追放されない.だいぶ無理くさい.
最速で狙うよりは3,4ターン目で相手の行動を縛りつつマナ加速をして,生き埋めと起動までを同一ターン中でこなした方が良い気がする.
②素直にデッキトップ落としやルーティングで墓地肥やし
 ルーティング,諜報などで素直に墓地を肥やす.その結果揃ったクリーチャーをコピーしながら戦う.当然ながら落ちてほしくないものも落ちてしまうリスクはあるが,クリーチャーならラザーヴでコピーが可能なのと,《湖に潜む者,エムリー》があるので一応アーティファクトも設置可能.現状,インスタントソーサリーは《任務説明》でしか再利用できない仕様にしている.
 元々は《縫い師への供給者》や発掘などでデッキトップから大振りに落としていく方式を取っていたのだが,デモコン神託者を搭載してからはせっかくの墓地を追放された時の勝ち筋が沈んでしまう可能性があるため若干の抵抗がある.その点でも《破滅を囁くもの》は最強.
 実際は②をこなしながら生き埋めにアクセスでき次第①に移行するような感じになることが多い.

 これらのことから,デッキに入れるべきカードは優先度の高い方から「コピーするためのクリーチャー」,「生き埋めに繋がるサーチ」,「墓地を肥やすための手段」,「マナ加速」が挙げられ,次点で時間稼ぎと自分の動きを通すための「打ち消し」,「妨害置物」が必要になってくる.


各採用理由

―クリーチャー

《ファイレクシアン・ドレッドノート》
マナレシオ最強.

《媒介のアスプ》
感染付与.ただの感染持ちと違い,自身に起動効果で感染を付与するため,他のクリーチャーに変身し直しても感染が残るのがポイント.

《トリトンの岸忍び》《不可視の忍び寄り》《ディミーアの浸透者》
 アンブロ持ち3体.岸忍びは最軽量.忍び寄りは呪禁付き.浸透者は変成持ちなので,2マナ域をサーチしつつ墓地に置くことができる.地味に神託者になれるの偉い.

《地獄の樹》
 コンボパーツ.一応単にでかい壁としても.

《墓所のネズミ》
 全除去入れたくなさすぎてこいつでお茶を濁そうとしている.解決前に乗り換えることで自分だけ生き残れるのもポイント高い.

《壊死のウーズ》
 こいつ自身に変身しておけばほとんどの起動効果を重ねるタイプのコンボが軽いコストで扱えるネズミの樹も乗り換えなくてもこれ1体あれば成立する.

《トリスケリオン》《Phyrexian Devourer》
コンボパーツ.

《海の神,タッサ》
 破壊不能.アンブロ付与.顕現することはたぶん一生ない.

《核の占い師,ジン=ギタクシアス》
 クローザー.マナが溢れる終盤にこれに変身できればほぼゲームに蓋をできる.

《概念泥棒》
 雑に強い.基本的には《囁く狂気》《以外な授かり物》《ジェイスの文書管理人》などに重ねる.

《破滅を囁くもの》
 最強の墓地肥やし.ライフさえあれば大量に墓地を肥やすことができる上に落としたくないものを残すこともできる.

《湖に潜む者,エムリー》
 沈んだファクトの釣り上げ用.

《縫い師への供給者》
 雑に墓地を肥やす能力は非常に高いのでとりあえず.

《ヴリンの神童,ジェイス》
 ルーター.変身後に墓地のインスタントソーサリーを利用できるのも良い.

―プレインズウォーカー
《覆いを割く者,ナーセット》
全員ドロー系を多く積んでいるので雑にハンデスできる.サーチ効果も生き埋めにアクセスできる可能性があるので好感触.

《夢を引き裂く者,アショク》
 相手だけサーチ妨害,墓地追放しながら自分は墓地肥やし.色々とずるい.ナーセットもそうだが,灯争大戦のこいつらなんで基本忠誠度5もあるの?

―墓地肥やし・ドロー・サーチ

《生き埋め》
 3枚選んで墓地へ.決まれば勝ちと言っても過言ではない.

《納墓》
 雑に唱えてドレッドノートなどを落としてもいいが,温存しておけば相手のドロースペルに合わせて概念泥棒になったり色々できて便利.ピンポイントで落とせるスペルは貴重.

《最後の別れ》
 サーチと墓地肥やしを同時にこなすすごいやつ.

《悪魔の教示者》《吸血の教示者》《伝国の玉璽》《霊廟の秘密》《神秘の教示者》《親身の教示者》
 生き埋め撃てば勝ちなんだから全力で積んでいいんじゃないですかね.僕は金銭的な都合でいくつか入れてないけど.

《ディミーアの策謀》《当惑》《幻の漂い》
3マナ変成.どれだけ生き埋め欲しいんだよって思われそう.僕も思う.

《囁く狂気》
 雑に墓地を肥やす手段として,デッキトップからだと生き埋めを埋めてしまうということが起こりがちだが手札を落とす分にはなんの問題もないためおいしい.暗号化すれば何度も使えるのも◎.

《意外な授かり物》
基本的には《囁く狂気》と同じ.

《概念の雨》
 諜報付きドロー.

《航路の作成》《知識の渇望》
ルーター.このデッキに関しては単純なドローよりルーティングのほうが嬉しい.

《僧院の包囲》
 基本的には置物ルーターとして.ある程度墓地が肥えたあとは,ラザーヴに簡易的な耐性をつけるためにも使える.

《宝船の巡航》《時を越えた探索》
 単体でも強いドロー・サーチだが,おにぎりウーズの打点増強に大いに役立つ.

《嘘か真か》《パズルの欠片》《禁忌の錬金術》《半真実の神託者,アトリス》
 相手からすると,ハンドに欲しいカードと墓地に落としたいカードの両方を考慮する必要があるため,他のデッキで使う時に比べて分け方が難しくなる.全投入するかは怪しいところ.

―その他呪文

《稲妻のすね当て》《速足のブーツ》
 速攻付与も大事だが,基本的にはラザーヴを守るために使う.

《訓練場》《ハートストーン》
 起動軽減.マナが余った時に置いておくと後で色々楽になる.その程度ではあるけど体感としては結構重要.

《暗黒の儀式》《陰謀団の儀式》《忌むべき者の歌》
 一時的マナ加速.

《基本に帰れ》《秘儀の研究室》
 置物妨害.起動効果で動けるため《秘儀の研究室》は自分の邪魔をしづらいのが良い.基本土地は構築段階で多めで.

その他マナファクト・打ち消し等
 基本的な物をバランスに合わせて.ファクトは色マナよりも数が出るものが重宝する.コントロールではないため打ち消しは最低限自分の動きを通すためのものだけで良いと思う.

まずは,マナが伸びないことには始まらない.目標は3ターン目コルヴォルドキャスト.目標達成のために必要なのは,3ターン目時点で土地3枚と合わせて5マナ.なので,1,2ターン目に追加でマナを出せるもの(マナエルフや繁茂など)を2枚供給,つまり各ターン1回動ければ良い.このデッキで1マナ2マナの加速は20枚,暗黒の儀式のような使い捨てのものを除いても16枚あるので現実的な範囲だろう.
 3ターン目にコルヴォルド着地できれば,そのターンは適当にラノエ辺りを1枚生贄にして1ドローしたらパス.前にも書いたがまさかこれに即打ち消しは打たないだろうというのが狙い.コルヴォルドのキャスト自体は直接勝ちに繋がる動きではないので十中八九見逃してもらえる.これは,卓の平和のために撃つ打ち消しは自分の勝ちに繋がらないから弱い,それでもやるのは撃たなきゃ死ぬときだけ,というのが基本なので,ある程度それに乗っかった動きをしてくれることが前提.裏を返せば,ここまでは絶対に見えている脅威になってはいけない.前世の記憶で殴ってくる奴や自分の勝利より個人ヘイトを優先する奴がいる場合は諦めよう.
 あとは粛々とフェッチを切りながらドローしていき,早い段階で食物連鎖や波止場の恐喝者にアクセスできたならそのプランで,ある程度長期戦になりそうならばラムナプの採掘者や世界のるつぼでフェッチを使いまわしながらコンバットダメージを蓄積していく.そのうちコルヴォルドが成長して2確圏内に入ったり,統率者ダメージでギリギリまで追い詰められたりすると相手も流石に対処せざるを得なくなる.この頃には何かしらのコンボパーツにアクセスできていると思われるので,危ない相手から殴りきる姿勢を見せ,除去を吐かせてからコンボを決めにいく.

 コルヴォルドの利点は,最初は激重ドローエンジンだが,徐々に脅威と化していくところにある.序盤は5マナ1サクりで1ドロー,フェッチ切っても2ドローなので本当に弱い.が,着地さえしてしまえばこの動きを咎める手段は少なく(フェッチ揉み消しはキツイけどそれ今使っていいの?神託者くるよ?),結局サイズアップしてジェネラルダメージを気にしないといけなくなった段階で対処せざるを得なくなる.更には除去をコルヴォルドに吐かせることで,梓やラムナプの採掘者のようなシステムクリーチャーを場に固定しやすくなる.この時点で十分に仕事をしているので,あとは土地を伸ばしてコンボを叩き込むだけ.
 コルヴォルドを少しでも長く場に残すためには,除去手段が豊富な相手にコンバットをかけないこと.大抵の場合,自分が狙われているのでなければ除去は飛んでこない.もしくは一人落とすまで泳がせようという思惑が働き,3回殴れば1人落とせてその間にドローを重ねられる.この時点で3ターン生存.そしてcipと戦闘時合わせて4ドロー,フェッチを1枚切れば1マナ/1ドローを超えるし,もっと引ければ儲けもの.そこにジェネラルダメージが付いてきて,ある程度育てば盤面では積極的に弾除けになってくれる.こう考えるとめっちゃ強そうな気がしません?

 ただまぁ,実際毎度こんなにうまくいくはずもなく,フェッチ引かなかったり餌が足りなくて殴れなかったりする.そんなときには大きい飛行持ちの壁がいるのをいいことに準備ができるまで引きこもろう.構築段階で打ち消しもすべて削っているので,盤面に介入することもなく静かに時を待つ.ジェネラルに大きさがあるだけに,「アイツ貢献してないし,とりあえず殴っとこう」と狙われないだけでも比較的生き残れる.

あとは,卓を囲んだ時点で勝つのが難しい場合が2つ.①誰も妨害をせず,ただ速さを競う卓 ②コルヴォルドが一番強い(という扱いを受ける)卓.この2つはきつい.1つ目は逆立ちしても無理.2つ目は誰でもキツイといえばきついが,明らかに他3人の脅威に対する目算が機能していないような状況だと序盤の目論見がすべて外れるのでそのまま袋叩きにされる.魔王戦に耐えられるほど強力なジェネラルではないので,ヘイト管理はしっかりとしていこう.ただ,この特性から,よりカジュアルな卓や初心者卓に混ざってもヘイト管理次第でそれなりにゲームになるのはいいところ.
気になっているカードは2枚.まぁイナーラに限らず注目されている2枚だから書くまでもない気もするけど…

《タッサの神託者》
 各方面で話題になっているやばいやつ.雑にデッキを吹き飛ばしてこいつが着地すれば勝ち.
イナーラでは古術師ループの最後に納墓,釣り上げで神託者を置けば信心無限で勝てる.これまではインスタントウィンが星霜の学者とBurnt Offering,コラガンの命令がある前提だったが,それらが追放されているような場面であってもSacrificeで代用してインスタントウィンに持ち込めるようになった.特に星霜の学者はよく追放の憂き目に遭うのでこれは大きい.納墓が飛ばされるとダメ.
 あとはシンプルに神託者キャストした上からDemonic consultationでデッキを飛ばすルート.青青黒と2枚で墓地を経由せずに勝利できる.二重詠唱の魔道士を使ったサイドプランよりよほど楽なのでこちらを搭載したほうが良さそう.

《死の国からの脱出》
赤い《ヨーグモスの意志》.ヨグウィルより良いのが軽いことと一度使ったカードが追放されないこと.イナーラでは3ターン目までの呪文探求者(またはその後に続く弱者選別,発掘)を止められてからゲームが始まることが多いのでその後のリカバリーとして有用.脱出コスト3枚も軽くはないが,1回2回までなら許容できる範囲なのと,浅すぎる墓穴や死体のダンスで特定のクリーチャーを復活させたい時に蓋になってしまっているクリーチャーを追放するためにも使える.あとは暗黒の儀式を使えば墓地3枚追放ごとに黒黒が増えるなど.現実的なものも非現実的なものも合わせて山のように使い道が思いつく.とりあえず試してみて,やってる中で面白い動き色々見つけられたらいいな.

デッキレシピは以下
https://dig.cards/decks/magicthegathering/171830

Korvold, Fae-Cursed King / フェイに呪われた王、コルヴォルド (2)(黒)(赤)(緑)
伝説のクリーチャー — ドラゴン(Dragon) 貴族(Noble)
飛行
フェイに呪われた王、コルヴォルドが戦場に出るか攻撃するたび、他のパーマネント1つを生け贄に捧げる。
あなたがパーマネント1つを生け贄に捧げるたび、フェイに呪われた王、コルヴォルドの上に+1/+1カウンターを1個置き、カードを1枚引く。

4/4

 エルドレインのブロールデッキで登場した,ジャンドカラーの統率者.
 自身の登場時と攻撃時にパーマネントを1つ生贄に捧げる効果と,自分が何らかの手段でパーマネントを生贄に捧げると1ドローして+1/1カウンターを乗せるという2つの誘発効果を持つ.
 ドローソースとして優秀なのもさることながら,飛行を持ち,攻撃時時に6/6,7/7,8/8とサイズアップしていくことから統率者ダメージでの勝利も十分に狙うことができる.アドバンテージ源,アタッカー,コンボパーツとジェネラルをあらゆる形で活かせることが魅力.
 自分のパーマネントを生贄に捧げるという条件は重く感じるが,フェッチランド起動や輪作などのコストで切った場合にも発動するほか,宝物トークンを使えばマナを生みながら1ドローしてパンプアップという芸当までできるため,餌を工夫すれば見た目以上に苦にならない.
 ジェネラル自体も3色5マナと重く感じるが,そこは緑の強みで大体3ターン目には着地できる.着地さえしてしまえば,ジェネラルダメージを蓄積させながら,手札を稼いでコンボにつなぐなど活躍の幅が広い.

 最初はハルクルートやキキジキ,食物連鎖などコンボマシマシのデッキにしていたのだが,引きたくないものが多すぎる割にドローでパーツを揃えるというあまりにも落ち着きのないデッキになってしまったため没.結局フェッチランドを切ったときに1ドローが付いてくるという動きが妨害を受けづらく強いため,使い回す型に落ち着いた.

 理想的な動きとしては,
①1,2ターン目にマナ加速から3ターン目コルヴォルド着地
②中盤は梓とラムナプを盤面に揃え,フェッチランドや露天鉱床を使い回しながらコンバットを仕掛けてジェネラルダメージを蓄積する
③最終的には歯と爪,最後の別れなどで下記のコンボのいずれかを揃える
なので,キルターンは最速でも4.最も多いのは6~7か.比較的のんびり構える形になるが,ジェネラル着地まで辿り着けば安定したマナ基盤とアドバンテージ源を確保できているので太く戦うことができる.
 勿論,全てはコルヴォルド自身が盤面に着地できてはじめて始まる話ではあるが,これが意外と見逃される.3ターン目にコルヴォルドを唱えた段階でやっていることといえば「フルタップで,ラノエなどのマナ基盤を減らしながら,1ドロー」.これだけでは明らかに動きとして弱く,相手からすれば3ターン目のまだ貧弱なリソースを切ってまで打ち消しを吐くほどのものでもない.また,3ターン目といえば高速ジェネラルはそろそろ初撃を飛ばしてくる頃であり,そこを躱すためにもこんなところを打ち消している場合ではない,という状況になる.YOKO字氏のゼガーナ論(https://xchucrow.diarynote.jp/201912122255063791/)で語られていることとも共通するが,絶妙に弱い動きであるが故に見逃され,見逃したが最後,様々な動きのおまけで1ドローを許し続ける羽目になる.強ジェネラルが差し合いをする隙間で黙々とフェッチを切りながらドローを続け,そのうち大きくなって殴り始め,最後には安定した土地基盤からコンボを叩き込む.弱いは強い.(当然,なにかの間違いで序盤からヘイトを向けられると簡単に沈んでいく.)

メインプラン
主な勝ち方は4つ.
《食物連鎖》+《不死身,スクイー》 赤赤緑3
 食物連鎖でスクイーを飛ばすたびに1マナ浮き→生物用無限マナ.
スクイーを着地した状態でコルヴォルドキャスト→着地時誘発でスクイー生贄1ドロー,コルヴォルドは食物連鎖で除外(統率者領域へ).これをデッキを引ききるまで繰り返す.最後はパーフォロス等設置してループするか無限バリスタ.
 《最後の別れ》から入れば,墓地にスクイーを落としながら食物連鎖をサーチ,食物連鎖の適当な餌さえあれば8マナでゲームエンドまで持っていくことができる.このデッキで8マナは十分伸びる範囲.

《波止場の恐喝者》+《ティムールの剣歯虎》
 宝物5以上で無限マナ.コルヴォルドの場合,無限マナ無限ドローまで可能.ただし,コルヴォルドのドローは強制効果のため,デッキが切れるまでにバウンスすること.もちろんこれだけで勝てるわけではないので,バリスタ撃ったりパーフォロス置いてぺちぺちしたりする必要あり.
 クリーチャー2枚コンボなので揃えやすい.また,この2枚が揃わずとも,恐喝者の生み出す宝物トークンとコルヴォルドの相性が非常に良いため無理なく採用できる.

《鏡割りのキキジキ》+《士気溢れる徴集兵》
 無限速攻トークン.歯と爪や中心部の防衛から.

ジェネラルダメージ
 コルヴォルドはそのまま殴りにいけば6,7,8の三回で1人落とせる計算.実際はフェッチランドや宝物トークンを切っているうちに二撃必殺までは伸びる.

各カードの採用理由
 マナ基盤やサーチについては特段言うこともないので土地関係だけ.
 強いていうなら,ジェネラルがいればコストでサクっても引けるので異界の進化や自然の秩序は一粒で2度美味しい.あと,赤霊破系は抜けた.赤霊破は強くても赤霊破を撃つ動きは弱いため.その枠に基本土地を詰めたい.

・土地セット権の増加
梓,ムル・ダヤの巫女,むら気な長剣歯
 サーチ順は梓が最優先.ムル・ダヤはデッキトップからも土地をセットさせてくれるので,コルヴォルドで次にドローするカードの質を上げることもできる.

桜族の斥候
 序盤は土地加速として.また,中盤以降墓地から土地をセットできるようになった後の手札処理として.

・墓地からの土地セット
ラムナプの採掘者,世界のるつぼ
 フェッチの使いまわしができるのがえらい.露天鉱床の使い回しができるのはもっとえらい.

・その他土地に関係するもの
水蓮のコブラ
 フェッチ出して切って2マナ.諸々の動きが大幅に早まる.

森を護る者
 通称森で護る人.コルヴォルドが丈夫になった上にでかくなる.たまに森林伐採しながらコルヴォルドを1確サイズまで上げてくれる.

不屈の追跡者
 手がかりトークンは主にコルヴォルドの餌.ジェネラル着地後に切ると2マナ2ドローと非常に効率が良い.

エルフの開墾者,輪作
 サーチ先の優先順位としてはフェッチ>ファイレクシアの塔=クレイドルくらい.クレイドルは諸々の準備ができた後にしか使わないので,墓地のフェッチでまだ引いてこられない色のフェッチを呼んでくることが多い.輪作はこのデッキでは実質0マナ2ドローインスタント.

レンと6番
 墓地から直接土地をセットできるに越したことはないが,それがうまく行かなかった時の保険として.また,桜族の斥候のための弾補給に.1点飛ばしも地味に使えることがある.

改善案
 現段階では序盤~中盤の動きは強いが,相手の動きを阻害するための札がほとんどないためせっかく土地を伸ばしても終盤の詰めで追いつかれる事がある.そのため,締め付け,王神の立像などのヘイトカードで全体の動きを鈍らせる戦術も検討する必要がある.ただ,ヘイトを上げて袋叩きにされるのも怖いので一旦保留.
 あとは、墓地対やガラクタ系のサクれる置物なんかもいいかも。ガラクタはコルヴォルド着地以降はデッキ圧縮として優秀だけど、それまではホントにガラクタなので悩ましいところ。
タイトルの通り、運営として参加しているKCA主催、第一回統率者交流会が終了しました。

 運営として思っていること、言いたいことはほとんどレンタロウさんが書いてくれているので、僕からは簡単に。
 カードゲームを趣味としてやっていく中で、子供の頃はお金が制限要因になっていましたが、大人になった今はカードは買えても時間と人がなかなか手に入らないのが現状です。特に人については、やりたい人が潜在的にいたとしても、そのための機会がないとなかなか出会えないものです。ならば、月一回時間を決めて、この日この場所では必ず遊び相手がいるという環境づくりをしよう!というのが今回の企画の趣旨です。
 大人の趣味として、気持ちよく対戦できる環境がつくれるか、ということろが1番大切にしたい部分であり、心配していた点でもありました。いざ始まってみると参加者の皆様が本当に紳士的な方達で、協力して気持ちよくプレイできる場作りができたので、安心したと共にとても嬉しく、感謝しています。
 また次回開催についても近々Twitter等で告知しますので、是非ご参加いただけると嬉しいです!僕は今日は時間内に2卓ほどしか参加できませんでしたが、またいろんな方とご一緒できるのを楽しみにしています!
 この土日で10時間ほど遊んだ結果思ったことなど.

・1マナ域を減らしたことによるキルターンへの影響
 これが案外低速化していない.ブレスト等で無理やり引き込んでいた分はなくなっているので多少の影響はあるだろうが誤差範囲で,今でも最高速で走るプランでいけば体感平均3ターンで呪文探求者を1回叩きつけることはできる.走ると打ち消しや忌み者にわからされることがほとんどだが.誰かを弾除けにしてその後に動くことも覚えないといけない.

・生物の追加による影響
 影魔道士の浸透者,アズラの賭け屋などの戦闘を介してアドバンテージを取れる生物を使ってみると,思いのほか引かせてもらえる.3人いれば1人くらいはがら空きか,マナクリなど盾にしたくない生物しかいない相手がいることが多い.また,コンバットダメージで勝利を目指すわけでもないので微々たるものだが,赤や黒などライフをリソースにする相手に対しては戦闘ダメージの蓄積が影響を与えることもある.
 遵法長,バラルは2マナ1/3というスタッツがまず優秀.飛行には無力だがキャッチャーとして十分に機能する.軽減効果は,このデッキでは恩恵を得られる呪文は少なめだが,浅すぎる墓穴が黒起動になるのは良い.ループに古術師を使っても無限マナを得ることができる.打ち消しドローは誤差.イナーラの打ち消しは自分のコンボを通すために使うものなので,その時には既にドローしたい場面は過ぎていたりする.追加の打ち消しが引けたりすると強いけど.あくまでも人のために打ち消しは撃たないという強い意志.ここは常に戦慄衆の秘儀術師と迷っている枠.
 生物の増量により,相対的に装備品とそれを持ってくる捧げ物の魔道士の価値が上昇した.捧げ物の魔道士で持ってくる先は,基本的に記憶の仮面と征服者のフレイル.威光を使えば両方同時に持ってくることもできる.これまで生物が少なかったために肝心の時にフレイルの装備先がいないこともあったが,現在ではなにかしら場に出ていることが多いためしっかり蓋として働いてくれる.

・Demonic Consultation
 このカードは当初はサイドプランのためのコンボパーツとしての採用に過ぎなかった.しかし,実際に使ってみるとそれより重宝した場面が,ターンを返せば負ける状態で無理やりコンボパーツを探しにいく時.そしてコンボを通す時.一例では,呪文探求者を対象とした発掘キャスト対応して撃たれた忌み者にオンスタックで発動し,もみ消しを持ってくるなど.このときは無事に古術師ループのパーツがデッキに1枚ずつ残り,そのまま勝つことができた.結局は運なので積極的に狙うものではないが,返せばそのまま負けるところに何割かでも活路を見いだせるのは強い.

構築の変更による所感はこんな感じ.それに伴う副次的なものとして,最速で決めに行く以外の場合,つまり影魔道士や記憶の仮面によりアドバンテージを得ながら機を伺う場合には,最終的なゴールとしてザルファーの魔道士,テフェリーや征服者のフレイルにより蓋をしにいく重要性が上がっている.序盤のサーチカードは呪文探求者に使われることが多いが,後半ではこのような蓋になるカードにアクセスすると安定してゲームエンドを目指すことができる.ただし,サーチをかけたらそのターン内で決めることを意識しておく.悪魔の教示者を唱えたプレイヤーに対して何も対応せずに1周回してもらえるわけがないのは自明の理.理想はエンド時魂の洞窟テフェリーからもみ消しを構えてループに入る万全の状態だが,毎回完璧に揃うのを待っているわけにもいかないので,相手の様子を見ながらどこで走り出すのかを判断する.
 ともかく,改訂時に意識していたことがちゃんと機能してくれたので一安心.あとはプレイングの問題.自分が有利な状況でも焦らず丁寧にプレイングすること.それと,今回は打ち消しの薄い環境だったので,もっと青に寄った環境でも練習していく必要がある.次に回せるのは今週末のKCAかな.楽しみ.

改善すべき点は以下.
・必要以上に前倒しになっている
・継続的なアドバンテージ源の少なさ
・殴ってきた軽量生物をキャッチできる生物がいない
・墓地を経由しないサイドプランが欲しい


①継続的にアドバンテージを稼げる生物の採用
元々採用していた闇の腹心と神童ジェイス,明日の見張りに加えて,影魔道士の浸透者とアズラの賭け屋を投入した.さらにこれらの役割を補強するカードとして,記憶の仮面を採用.アドバンテージを得るためにコンバットを必要とする生物は,1ターン待たないといけない上に通るとは限らないからと敬遠していたのだが,威光トークンを使えば出てすぐに仕事をしてくれる.さらに,畏怖を持つ浸透者は3人いればだれか1人くらいは防げない場合が多いため,アズラの賭け屋や記憶の仮面を上乗せすれば大きなリターンを期待できる.
また,元々採用していた3体と比べて,この2体はタフネスが3あるため,今回名古屋で多く当たったティムナ,エドリックに対してのキャッチャーとしても機能する.

②墓地を経由しないサイドプラン
 研究室の偏執狂+Demonic consultationを採用した.今回はインスタントの1マナドローソースを入れておらず,能動的に引ける手段が独楽しかないため,基本的にはテフェリーか閃光と絡めてアップキープに設置することを想定している.

③閃光
 今回の怪しい枠.役割としては,

・手札に来てしまった古術師系統を墓地に落としながら呪文回収
・アップキープ偏執狂
・エンドテフェリーの軽量化
・突然の呪文探求者からパーツを揃えてインスタントウィン

などなど.できることは多いが,単体で機能しないためこれまで採用を見送っていた.同様に単体で機能しない本質の変転については,強引に呪文探求者コンボを通すためという目的で入れていたが,今回は極端な前倒しを見直すためにもこの2枚をチェンジした.使用感が悪ければなにか丸いカードに置き換わる予定.

④毒の濁流,ラクドスの魔除けアウト
 除去が薄くなることには不安もあるのだが,これらのカードを撃つのは「誰かがしなければいけないことを自分が引き受ける」場面であり,負けの先延ばしにはなるかもしれないが大抵誰かのサポートになってしまい結局自分は勝てない.貧乏くじを引かないという強い意志.


他に抜けていったのは,1マナドロー,炎の儀式,払拭など1マナ帯のカードたち.完全にチャリスX=1がトラウマになっている.ただ,実際1マナのドローソースを使う場面は土地を探しに行くのが大半だったので,キープ基準をしっかりすればなくてもちゃんと回る(はず).
一人回しをしてみて気付いたのが,これまで何の気なしに投入して特に使う場面のなかったザルファーの魔道士,テフェリーがかなり重要なこと.今までロングゲームは最初から捨ててかかっていたが,そこからなんとかアド差を詰めて戦えるようにと考えると,テフェリーはそのままゲームエンドまで持っていける優秀な蓋になる.決められないのに出すと一人で打ち消しを引き受けなければならず大変な目に遭うが,そもそも「とりえあず」で置けるマナコストでもない.
とりあえずこれで週末回してみて,また使用感に応じて色々いじってみよう.

 11/1~3の3日間,MF名古屋のコマンダーゾーンで遊んできました.日本統率者選手権秋にも登録し,これまでホームのGamebar Lotus以外でEDHをプレイしたことがなかったので,見たことのないジェネラル,構築,そしていわゆる”c”の方たちのプレイに触れることを楽しみに参加しました.
 戦績は,スイスドロー4戦で2-2.決勝は進めず.

1戦目:エルシャ,チュレイン,伍堂,イナーラ(自分)
勝ち.エルシャ→チュレイン→伍堂と順番に走ろうとして全体が打ち消しを吐ききったところで呪文探求者が通った.3ターン目にはいつでも走れる準備はできていたのだが,エルシャが常に構えているのが目に見えていたので待ちの態勢に入る.最後は順番に走って上家の伍堂で卓の打ち消しが尽きたので止めて返しで勝ち.この「待ち」が出来ないでいたのが今回わかった自分と自分の構築の弱点であり,その点ではこの1戦目が一番いい動きができたといえるかもしれない.

2戦目:始祖ドラゴンの末裔,トラティム,トラティム,イナーラ(自分)
負け.初手に古術師ループの部品が揃っており,フルタップで回ってきたため2ターン目で走り出したがwillで止まる.まだ呪文探求者を構えてはいたもののトラティムとのアド差がどんどん開いていき,最後までトラティム同士の戦いを眺めているだけになってしまった.途中でもう一回仕掛けたんだったかな?忘れてしまったが,とにかくこの盤面に噛み付ける状態ではなかった.この辺りで,コンボを最速で決めることしか考えていなかった自分の浅はかさを悔やみはじめる.

3戦目:ゴロス,マーウィン,メーレン,イナーラ(自分)
勝ち.4番手ばっかりやな.ゴロスは土地事故でゲームに参加できていない状態.マーウィンが順当に成長して,次のターンが回れば勝てる状態.「僕なにもできませんよ?なんとかしてくだしあ><」って顔をしていたらメーレンが毒の濁流を投げてくれ,そのままターンが返ってきたので呪文探求者を投げる.通る.

4戦目:イナーラ,トラティム,セルヴァラ,イナーラ(自分)
負け.また最後か.トラティムは2戦目で勝たれた方.2戦目と同じように走り,2戦目と同じように止まり,沈黙.置物になる.止められる前に最速で走ればいいやろ!とか考えて継続的にアドバンテージを取る手段を用意していなかった自分の甘さを呪いつつ,また同じ方に討たれて終わり.

結果としては2-2で,3-1なしの4-0が1人だったため賞品のプレイマットが貰える圏内にはいたのだが,内容的には今までの考え方がひっくり返るくらいの衝撃と反省の連続だった.

その後,最終日はKCCの方たちと交流させていただく機会があり,何度か卓を囲んだものの最後に1勝できたのみで,何度も1番に走り出し止まる→次の方が勝つ,を繰り返してしまった.

反省点としては,
・とにかく最速で走ることしか考えていない構築
・周りを見極めずにワンチャン狙いで走ってしまう
・継続的アドバンテージ源の少なさ
・キャッチャーにできる生物がほとんどいない
・打ち消しの見極めが甘い

辺り.他にもいろいろあるんだけど.

最後の1つはともかくとして,構築上の問題についてはわかった上でそれでも前に前に傾けた構築にしてきた経緯があった.理由は簡単で,今までホームではそれで勝てていたから.速く走れることが強さで,打ち消しあればそこで3割勝てるんだからあとはそんなに考えなくていいでしょ,と思っていた.井の中の蛙がしっかり大会でわからされてきた形である.(誤解のないように補足しておくと,決して身内が弱いという意味ではなく,狭い環境のメタゲームに合わせた調整をしてしまった,という話.)あとは,エドリックのような殴ることで利を得るジェネラルをよくわかっていなかったのもある.この辺は完全な知識不足.もっとお勉強しましょう.
 ともかく,せっかく高いポテンシャルを持つイナーラというジェネラルをただ駆けっこの早いだけの線の細いやつにしてしまっていた自分の浅はかさを反省しつつ,デッキリストの更新と調整を行った.内容は次の記事に.

マイデッキ紹介【呪文探求者型イナーラ】
マイデッキ紹介【呪文探求者型イナーラ】
マイデッキ紹介【呪文探求者型イナーラ】
はじめに
本稿では,私がメインジェネラルとして使用している【儀式の大魔導師,イナーラ】について考察する.
呪文探求者型イナーラは日本の偉大なる先人によりほぼ1代で研究が進められてきたため,海外では未だ浸透しておらずtier2~tier3に分類されていることが多い.しかし,4マナ1枚コンボから勝ちにいける速攻性は他の追随を許さないものであり,知名度以上に強力なジェネラルであると言える.最近では,「4マナ1枚コンボ」という謳い文句だけが認識され狙われることもあるが,無闇にカウンターを撃っていると追いつかなくなる程の復帰力を持っているのもこのジェネラルの特徴である.相手がイナーラのことを知らなければ瞬殺してしまうこともしばしばあるが,デッキを握る側と対峙する側両方が通すべき/止めるべきポイントを把握し,また復帰点を想定することで次の一手を効果的に通す/止める方法を考えることができれば,常に卓の緊張感を保ち続けられるジェネラルになるだろう.

ジェネラル紹介
儀式の大魔導師,イナーラ
(2)(青)(黒)(赤)
伝説のクリーチャー — 人間(Human) ウィザード(Wizard)
威光 ― 他のトークンでないウィザード(Wizard)が1体あなたのコントロール下で戦場に出るたび、儀式の大魔導師、イナーラが統率領域か戦場にある場合、あなたは(1)を支払ってもよい。そうしたなら、そのウィザードのコピーであるトークンを1体生成する。そのトークンは速攻を得る。次の終了ステップの開始時に、それを追放する。
あなたがコントロールするアンタップ状態のウィザード5体をタップする:プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーは7点のライフを失う。
4/5

統率者2017で登場した,グリクシスカラーの統率者.
統率者領域からでも効果を発揮できる「威光」能力が特徴.統率者領域に干渉する方法は現状では存在しないため(起動効果に干渉する方法はある.真髄の針など),効果を打ち消すことはできてもイナーラ自体を処理することができず,統率者税を気にする必要もない.
イナーラの威光効果は,ウィザードが戦場に出るたびにスタックに乗り,解決時に1マナ払えば速攻を持ったコピーを場に出すことができるというもの.トークンはそのターン限りで消滅してしまうため,速攻を活かして攻撃するか,cip能力を2回発動させるような使い方が期待できる.
効果の特性から,ウィザードを場に出す回数を増やすことが重要であり,リアニメイトを絡めてデッキを回すことが多いことから黒寄りの動きをすることが多い.コンボデッキの宿命として,妨害を受ける,勝利に繋がるコンボを見せると警戒されて2発目も通らない…ということがあるが,イナーラ自身が青を含むことから妨害の妨害を構えることもでき,対応力の高い構成となっている.
一方で,色特性から恒常的なマナ加速が行えないことや,盤面の有利を取りづらく,置物による妨害を受けやすいことが弱点として挙げられる.また,生物が並びにくいので,殴りジェネラルに囲まれて袋叩きを受けるような状況も苦手.このような相手には,数少ないAoEを引き込むか,やられるより先にコンボを決めることが要求される.


型の検討
・ワンダーワインの預言者型
 ワンダーワインの預言者
(4)(青)(青)
クリーチャー — マーフォーク(Merfolk) ウィザード(Wizard)
覇権(マーフォーク(Merfolk))(これが戦場に出たとき、あなたがコントロールする他のマーフォーク1つを追放しないかぎり、これを生け贄に捧げる。これが戦場を離れたとき、そのカードは戦場に戻る。)
ワンダーワインの預言者がプレイヤー1人に戦闘ダメージを与えるたび、あなたはマーフォークを1つ生け贄に捧げてもよい。そうした場合、このターンの後に追加のターンを行う。
4/4

ワンダーワインの預言者1枚から無限ターンに入るコンボを中心とした型.呪文探求者型が流行するまでは主流であった.コンボの概要は以下の通り.

①ワンダーワインの預言者の覇権にオンスタックでイナーラの威光を起動,コピーの覇権効果で本体を追放する.
②威光で生成されたコピーは速攻を持つため,戦闘を行い,追加ターンを得る.
③ターン終了時にコピーは追放,覇権で追放された本体が戻ってくる.
④ ①と同様の手順で威光と覇権を解決.コピーの追放タイミングは「終了ステップの開始時」のため,このターンの終わりには消滅しない.
以下,攻撃が通らなくなるまで追加ターン.

通れば,1枚始動で無限ターンに入れるのが魅力.
ただし,コンボ始動に8マナ必要.かつ,攻撃が通ることが前提となる.その頃には他のプレイヤーの盤面も整い,妨害も構えていることが想定されるが,盤面処理や打ち消しまで構えるにはさらにマナが要求されるため,通すためには相応の準備が必要になる.

・呪文探求者型
 呪文探求者
(2)(青)
クリーチャー — 人間(Human) ウィザード(Wizard)
呪文探求者が戦場に出たとき、あなたは「あなたのライブラリーから点数で見たマナ・コストが2以下でインスタントかソーサリーであるカード1枚を探し、それを公開してあなたの手札に加え、その後あなたのライブラリーを切り直す。」を選んでもよい。
1/1

 呪文探求者の能力を威光により複数回発動させ,複数の呪文をサーチすることによってコンボを成立させることを目的とする.加えて,弱者選別やSacrificeなどを組み込んで呪文探求者を退場させ,リアニメイト系で釣り上げることでマナを確保しつつさらにサーチを繰り返すことも可能.
 呪文探求者はあくまでもコンボパーツを探す手段なので,一般的な型では「古術師ループ」と呼ばれる無限コンボをメインプランとして搭載している.呪文探求者の効果でリアニメイト呪文とSacrificeなどの生贄によりマナを生む呪文,納墓の計3枚を揃えることでループに入り,最終的には速攻を持ったトークンが無限に並ぶ(詳細は下記).また,星霜の学者と納墓を使えば,デッキから任意のカードを墓地に落としながらインスタント・ソーサリーを回収し続けられるため,コラガンの命令などの本体にダメージを飛ばせる呪文を使い回すことによってコンバットを介さずに勝利することも可能.通常であれば3枚と5マナの準備が必要だが,呪文探求者から始動することで1枚4マナまで圧縮される.
 4マナから呪文探求者1枚でコンボが始動するため,キルターンが非常に短く安定性が高い.たとえ一度ストップしたとしても,呪文探求者のリアニやブリンクによって再始動でき,復帰力も高い.イナーラに対して打ち消しで対応するには見るべき札が多く,またイナーラ自身も打ち消しを構えられるため止めることが難しい.
 一方で,キャスト,サーチ,リアニ,墓地回収等,ありとあらゆるリソースを使うので,各種置物系の妨害はよく刺さる.特に色特性上エンチャントには触れにくく,R.I.Pや黒力線,血染めの月などを早いターンで設置されると苦戦を強いられる.墓地対策は多くのデッキに搭載されているため,サイドプランとして研究室の偏執狂+Demonic consultationなどの墓地を経由しない勝ち筋を用意することも検討される.

 本稿では,呪文探求者型を採用した.ワンダーワイン型と比較すると,同じ1枚始動のコンボにしても,大幅に少ないマナで起動でき,攻撃を通す必要もないため確実性も高い.また,インスタントウィンも狙えて,呪文探求者を処理された場合でも直観1枚から古術師ループに入れるために勝ち筋も太く,多くの面で秀でていると考えられるためである.

主な勝ち筋
・呪文探求者1枚コンボ
UB2,手札に呪文探求者からスタート.途中7点ダメージあり.
①呪文探求者キャストして着地,イナーラの威光にスタックしcip効果誘発.(B)
②cip解決で弱者選別をサーチ,威光にスタックしてキャスト.コストとして本体生贄にして黒4マナ生み.(BBBB)
③1マナ払い威光解決,cip効果で発掘をサーチ.(BBB)
④発掘キャスト,呪文探求者着地で①と同様に処理.解決し,Burnt offeringと約束の終焉をサーチ.(B)
⑤Burnt offeringキャスト,本体をコストに赤赤黒でマナを生む.(RRB)
⑥約束の終焉X=1でキャスト.対象は発掘,弱者選別.弱者選別のコストでコピー1体を生贄にし,発掘で呪文探求者を釣り上げる.(BBBB)
⑦①と同様に処理,納墓と再活性を手札に加える.(BBB)
⑧納墓キャスト,星霜の学者を墓地へ.再活性をキャストして星霜の学者釣り上げ(7点ダメージ).(B)
⑨星霜の学者着地,威光にスタックしてcip効果誘発.Burnt offeringと納墓を回収.(B)
⑩威光にスタックしてBurnt offeringキャスト.解決後,納墓をキャストして浅すぎる墓穴を墓地へ.(B×6)
⑪威光解決,Burnt offeringと浅すぎる墓穴を回収.(B×5)

以後,古術師ループ(後述)に入る.

ほとんどのパーツは浮きマナが必要になるものの代替が利くが,納墓が墓地にあって古術師系が落とせていない場合だけは下記のループに入れなくなるため注意が必要.
 よくある失敗例として,初期手札に納墓とリアニ系呪文が存在し,納墓で呪文探求者を埋めてリアニするところから始動しようとすることがある.この場合は重い古術師系を手札から唱えなければいけないので,要求値が途端に大きくなる.ルート内の約束の終焉で納墓を切ることで5マナスタート可能。
対峙する側としては,2~3ターン目に高確率で来る呪文探求者を止められるかどうかが第一関門となる.止めるポイントは2つ.
1つ目は,④の発掘キャスト.呪文探求者は釣り竿があれば始動するため,発掘を1枚消費させた形でストップすると使用可能な釣り竿が1枚減少した状態になるので,その後も含めて再起動される確率を抑えることができる.
2つ目は,③の弱者選別キャスト.こちらを止めると浮きマナ0の状態でストップさせることができる.2枚目の釣り竿が手札にあることがわかっている場合,または手札枚数からその確率が高いと判断するならこちらを止めれば良い.ただし,次のターンほぼ確実に再起動するので,それまでに対抗策の用意が必要になる.

・古術師ループ
墓地か手札に古術師系(以下,古術師),Sacrifice系(以下,Sacrifice),リアニメイト系(再活性・発掘以外.以下,リアニ)の3枚が揃ったら始動.古術師かリアニのどちらか1枚は手札に必要.
①古術師をキャスト,またはリアニをキャストして古術師を釣り上げる.
②威光と合わせてcip効果が2回発動し,Sacrificeとリアニを回収する.
③本体を対象にSacrifice→リアニを唱えることでループし,1ループごとに速攻を持ったトークンが1体ずつ増えていく.
④無限アタック.

古術師系が星霜の学者であれば,威光と合わせて回収枚数が4枚になる.そのため,納墓が墓地にあればループ中にデッキから任意のインスタント・ソーサリーを落とし,回収することが可能.また,Sacrifice系の呪文としてBurnt offeringを使えば,赤マナも生めるためコラガンの命令などを無限キャストしてコンバットを介さずに勝利することもできる.

・インスタントウィン
古術師ループの派生.手札に納墓または墓地の一番上に星霜の学者,墓地か手札に納墓またはBurnt offeringが存在し,手札に浅すぎる墓穴などのインスタントの釣り竿があれば可能.
①浅すぎる墓穴キャスト,星霜の学者着地.威光にスタックして本体cip効果誘発.浅すぎた墓穴とBurnt offeringを回収.
②威光にオンスタックでBurnt offeringキャスト,星霜の学者を生贄に黒4赤3マナ生む.
③さらに威光の上に浅すぎた墓穴をキャスト,星霜の学者着地.
④以下,①に戻り一周するごとに威光スタックが1つ積まれていき,無限赤黒マナの状態で無限に威光スタックが積まれた状態になる.
⑤威光を解決,納墓となにかを回収し,納墓キャスト,コラガンの命令を墓地に落とす.
⑥威光を解決,納墓とコラガンの命令を回収.コラガンの命令をキャスト.
⑦以下,威光解決1回ごとにコラガンの命令を回収,キャストして無限ダメージ

インスタントの釣り竿と納墓で始動できる.前もって納墓で星霜の学者を沈めておけば,釣り竿1枚と黒×4で始動可能.誰かの勝ちが見えた後,悠々と上から勝利を攫っていこう.

採用基準
・呪文探求者
このデッキのメインエンジン.コンボに必要なパーツを全て1人で持ってきてくれる.

・星霜の学者,古術師,魔除け探しの吸血鬼
 tip効果で墓地のインスタント・ソーサリーを回収することのできるカードたち.このうち,星霜の学者は唯一1回で2枚を回収できるため確定枠.古術師はこの系統の効果を持つ中で最も軽いため採用.手札から唱えることがあるのはこいつくらい.魔除け探しの吸血鬼は非常に重いが,それ故にSacrificeで生めるマナも多く,三なる方球を設置されていても古術師ループに入れる利点がある.
 この系統のカードは手札に来ると非常に困るため,できるだけ少ない枚数で抑えたいが,1枚や2枚では素引きしてしまったり除外されたりした時に勝ち筋が消えてしまう.そのため,3枚の採用となった.

・Burnt offering,Sacrifice,弱者選別
 生贄によりマナを生み出すタイプのカード.Burnt offeringはこの中で唯一赤マナを出すことができるため,約束の終焉の起動やコラガンループに入る際に必須になる.弱者選別は生贄のコストに関わらず4マナを生めるのでこちらもコンボパーツとして必須.Sacrificeはこの2つのような唯一性はないが,呪文探求者に頼らずに古術師ループに入る際に1つでも起動キーが多いほうが良いので採用.

・納墓
 そのまま唱えるには重すぎる星霜の学者を墓地に埋める動きは勿論,古術師で回収できる呪文を一旦墓地に落とすこともでき,替えの利かない1枚.しかも,インスタント1マナでこの動きが代用できる呪文は存在しない.地味に見えるがこのデッキの(というか墓地利用の絡むデッキ全般にとって)最も重要なパーツであると言っても過言ではない.絶対に雑に使ってはいけない.

・発掘,再活性
 1マナで墓地のクリーチャーを場に出せる釣り竿.呪文探求者1枚コンボのキーパーツであり,軽く使いやすい呪文ではあるが,これを使って古術師ループには入れないことには注意が必要.

・浅すぎる墓穴,縫合,死体のダンス
 2マナ以上の釣り竿.こちらは古術師ループに入ることができる.この他にエンチャントの釣り竿も存在するが,コンボパーツとして利用できないので不採用とした.

・コラガンの命令
 ファクト破壊,手札破壊,ダメージと3つのモードから2つを使い分けられる呪文.最も多く使う場面は無限キャストによる勝利だが,その他にもファクトとクリーチャーを同時に対処できるなど,優秀な除去として機能する.

・暗黒の儀式
 一時的なマナ加速として,1枚で2マナ以上水増しできるカードは多くない.その中でも1マナから増やすことができるこのカードは破格の性能.2ターンキルのお供その1.

・波止場の簒奪者
 カードゲームにおいて相手依存の能力は弱いと言われるが,こと統率者戦においては相手が3人いて誰もマナファクトを置かないということ自体が稀であるためほぼ確実にマナ加速が可能.2マナで唱えて宝物が3~4個,場合によっては6,7個出ることも珍しくない.2ターンキルのお供その2.

・猿人の指導霊
 マナ加速としてのウェイトはそこまで大きいわけではないが,無から有が作り出せるのが偉い.フルタップの状態から赤霊破紅蓮破を飛ばす目的で切ることが多い.

・陰謀団の儀式,炎の儀式
 主な役割は3マナを4マナに変換して3ターン目の呪文探求者をさせること.炎の儀式については,赤マナを必要とする場面が少ないことから実質無色2マナを生むような扱いになるため,少しバリューは落ちる.が,ないと困ることには変わりない.

・ヴリンの神童、ジェイス,闇の腹心
 存在するだけでアドバンテージを取っていく生物.他にも継続的なアドバンテージ源として候補となる生物はいるが,いずれも戦闘などもう1工程を必要とするため優先度が下がる.相手からすれば,これにわざわざ対処するのはもったいないが,かといって放置するわけにもいかない面倒な置物として扱われる.また,変身できる機会は多くはないものの,ジェイスの裏面-3能力も強力.

・明日の見張り
 上の2枚もそうだが,筆者の好みとして不要な戦闘は避ける傾向がある.単純に相手の見極めが下手なことも理由ではあるが.秘匿したカードを回収されることを恐れて戦闘の対象に選ばれづらくなることもあり,個人的に気に入っている1枚.さらに攻撃的に仕掛けながらアドバンテージを得たいなら,アズラの賭け屋や正気泥棒など,戦闘を介して効果を発動する生物を選択することも考えられる.ここは入れ替えの機会の比較的多い枠.

・ギタクシア派の調査
 マナコスト0で1ドロー.実質デッキを99枚で組めるようなもの.ついでに青絡みの相手の手札を覗いておけば,安心してコンボに入ることができる.

・渦まく知識
 最初は色々入れていた1マナ1ドローの最後の生き残り.引きたくなかったものを返せるのは他の1マナ1ドローにはない利点.

・本質の変転
 1マナでブリンク.マナが余っていれば,呪文探求者で持ってくる札を増やすことができる.主に蒸気の連鎖をサーチして邪魔な置物をどかすために使う.単体で機能しないので何度か抜けたものの,これがないと突破できない場面も多いため結局帰ってきた.

・直観
 古術師ループに関わる札が最低1枚以上手札か墓地にあれば、残りのパーツを揃えることができる.基本的に,このデッキのサーチカードは呪文探求者を探すための物が多いが,直観で釣り竿2枚を犠牲に呪文探求者を持ってくる動きは得策ではない.これをするとカウンターされた時の復帰の目をなくしてしまう上に,コンボ途中の釣り竿を先に消費してしまうと要求マナが上がってしまうことも考えられる.あくまでも決定打は古術師ループなので,直観を使うなら呪文探求者に拘らず直接そちらを狙えば良い.

・湖での水難
 エルドレインの王権から入ったカウンター兼除去.このデッキにおけるカウンターは,他人の動きを妨害するためではなく自分の動きを通すための役割が大きいので,軽いカウンターを打ち消せればいいと考えれば参照する墓地の枚数はそこまで問題にはならない.また,後半になれば統率者や大型の生物を除去するためにも使うことができる.

・その他カウンター呪文(12枚)
 基本的には軽いものを優先的に採用している.少々多いように感じられるが,これくらいないと自分のしたい動きを通すことができない.
この中で,常に採用の可否を考えているのが否定の力.否定の力はピッチで撃てるのが相手ターンに限られる.3人を相手にする統率者戦において,相手の動きを妨害するためだけの札は弱いという考えから何度も抜くことを考えたが,適切な代わりが見当たらないため現在まで使い続けている.実際にこれで助かる場面も多いのが悩ましいところ.

・蒸気の連鎖,サイクロンの裂け目
 バウンス.除去と比べると一次避難にしかならないが,1回コンボが通れば勝てるこのデッキでは有効にはたらく.詳細は下記.

・仕組まれた爆薬,溶融,ラクドスの魔除け,毒の濁流,爆積み
 設置されてしまった置物の除去.詳細は下記.

デッキの弱点
・墓地対策
墓掘りの檻,トーモッドの墓所,Rest in Peace,各種アショク,フェアリーの忌み者など.
主要コンボが全て墓地を経由するため,非常によく刺さる.
置物系を設置されることによってコンボに入れないことも困るが,一度止められた後墓地リソースを追放されると目も当てられない.ただし,古術師ループの各パーツは複数枚搭載しているので,完全に機能停止することは稀.
 フェアリーの忌み者などの特定の数枚を除外するカードを打たれる場合,呪文探求者が狙われやすいが,実はそれよりも納墓や星霜の学者を除外される方が困る.呪文探求者はあくまでもコンボパーツを揃えるための手段なので,墓地にある時点で仕事を終えている場合が多いからである.

・サーチ対策
エイヴンの思考検閲者,締め付け,灯争対戦アショクなど.
 墓地対策より困るのがサーチの制限をかけられること.後述の置物に対する対抗手段もデッキからサーチしてくることになるので,完全に素引き待ちの状態になる.ただ,既に古術師ループのパーツが手札・墓地に揃っているなら影響は薄い.

・土地干渉系
血染めの月,基本に帰れなど.
 青黒タッチ赤の3色デッキなので,色事故を防ぐためどうしても特殊土地が中心となってしまう.これらの置物を設置する相手の場合,色に余裕があればフェッチランドなども活用して,序盤から積極的に基本土地を置いていくことが重要になる.置かれるまでの対応を誤らなければ脅威は薄いが,設置されるタイミングによっては最も対処に困る.

・虚空の盃,三なる宝球
やめてしんじゃう. とてもつらい.
コンボパーツの多くは1マナ.打ち消しも1マナのものを中心に採用している.サーチも1マナが多い.つまりとてもよく刺さる.これを置いたあとのイナーラは死に体として扱われる傾向があるので,その間に準備を整えてチャンスを伺うことになる.一応,7マナ以上の古術師系を使えば三球の上からコンボに入ることも可能.

置物妨害に対する対抗手段
 前述の通り,ほぼありとあらゆる妨害置物が刺さるので,それに対する対抗手段を用意しておく必要がある.カウンターにより打ち消す余裕があるならそれに越したことはないが,ここでは既に設置されてしまったものに対する対抗手段と採用理由を論じる.

・クリーチャー除去
このデッキで設置されると困るクリーチャーとしては,月の大魔導師,エイヴンの思考検閲者,自由なる者ルーリク=サーなど.ついでにマナクリーチャーや誰かのジェネラルも巻き添えにできることを期待して,単体除去ではなくAoE呪文を中心に検討し,毒の濁流,滅び,Fire covenantの3候補まで絞ることができた.
この中で,Fire covernantは唯一自分のクリーチャーを巻き込まずに起動できるが,その分ライフ消費が激しくなりがち.「なんだかわからないけどイナーラは悪い」の認識からか,とりあえずアタックを仕掛けられることもしばしばあるので,ライフ消費は極力避けたいため選択肢から除外した.また,この構築ではそもそも巻き込まれて困るクリーチャーがほとんどいないので,採用の理由が薄い.
 となると毒の濁流か滅びの2択だが,毒の濁流の数点ルーズより滅びの1マナ増を重く見たため毒の濁流を採択している.当然,クリーチャー中心の環境であれば複数枚採用も十分検討される.

・アーティファクト除去
アーティファクト除去としては最初に溶融を選択した.汚損破も候補に上がるが,あちらは超過コストで撃つには5マナ必要になる.溶融であれば,X=2~3で大抵のファクトは破壊できるため,こちらの方がコストパフォーマンスに優れる.
コラガンの命令とラクドスの魔除けもアーティファクト除去として機能する.コラガンの命令なら古術師ループのダメージ源として,ラクドスの魔除けは横に並ぶデッキや無限トークンを並べる相手へのカウンター,墓地対策としての役割も持つので,ピンポイントながらも複数の役割を持つこれらは腐りにくく,使い勝手が良い.
ファクト除去に関しては,たとえ妨害ファクトを設置する相手がいなかったとしても,マナファクトを使う相手がいないということは考えにくいため腐ることがほぼない.そのため,悩んだ末に3枚体制とした.

・エンチャント除去
 色特性上,エンチャントだけに触る手段はほとんどない.そのため,パーマネント無差別破壊に頼ることになる.また,赤には高マナ域にリセットボタンが数多く存在するが,どれもマナ要求や色拘束が激しく,赤はタッチでしかないイナーラには使いづらい.
 そこでまず候補に挙がるのは,爆発域と仕組まれた爆薬の2枚.これらは見ることのできる範囲が広く,特に爆発域は対処されにくい優秀な除去なのでノータイムで採用する.
 次に考えられるのが,ネビニラルの円盤,爆積みなどの無色のリセットボタン.選択の基準として,次のターンには確実にリセットできるネビニラルか,運が絡む爆積みかの好みの問題という見方もできるが,それよりも,こんな見えている危険物が一周無事に帰ってくるのかの方が問題である.他のジェネラルであれば卓の平和のために協力してネビニラルを守ることも考えられるが,イナーラに関しては枷が外れれば走り出すのが誰の目にも明らかである.そのため,1対3の構図で守り抜かなければならないことを考えると,たとえ1/2でも任意のタイミングで起動できる爆積みに軍配が上がる.ただし,4マナ不確定除去は重いことには変わりないため,余程の置物環境になるまではここまでする必要はない.

・バウンス
 上記の除去手段は全体にかかる分どうしても要求マナが高めなため,1手2手遅れてしまう.本来であれば,これらの置物を設置される前に対処するか,1枚程度であれば軽いマナコストの呪文で一旦バウンスするだけでもコンボを通すことができる.このために採用しているのが,呪文探求者でもサーチ可能で,土地以外のあらゆるパーマネントに触ることのできる蒸気の連鎖とサイクロンの裂け目である.
たとえ墓掘りの檻やR.I.P.が設置されている状況でも,追加で青×2マナあれば,呪文探求者着地時に本質の変転を唱えてブリンク,再度誘発した呪文探求者で蒸気の連鎖を持ってくることで無理やりコンボを通すこともできる.サイクロンの裂け目には困った時の超過という手もある.本来ならその場しのぎにしかならないことの多いバウンスも,常に「通れば勝ち」を押し付けられるイナーラにとっては優秀な除去手段として機能する.

本構築の課題
 本稿のイナーラはかなり前のめりな構成になっており,3ターン目までの動きは安定するものの,1度2度止められた後に失ったアドバンテージを取り返す力はさほど高くない.そのため,4ターン目以降の動きには課題があると自分自身感じている.構築段階で継続してアドバンテージを取れる手段を増やすことも検討すべきだが,そのために本筋の動きを鈍らせることはできないので枠を割けずにいるのが現状である.

おわりに
 今回,自分の思考整理と共に,周囲の方から「イナーラが強いのはわかったけど何が起こっているのかわからない」「どこを止めたら良いのかがわからない」という声が多く聞かれたことからこのような記事を書くに至りました.結果的に人に読ませる気があるのかわからないような長文記事になってしまいましたが,これでもまだ不十分だと感じているので少しずつ加筆修正していく予定です.特に,マリガン基準については非常にシビアで,初動に全てをかけるイナーラとしては絶対に甘えたキープが許されないものなので是非とも考察したいと考えています.握る方も握られる方もデッキについての知識を持っていればお互いそれだけ楽しめるので,より多くの人にイナーラを知ってもらえれば幸いです.ご意見ご感想もお待ちしています.

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